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解答




【 解説 】

本問は、代理についての基礎的な問題です。

代理が成立するためには、次の要件を満たす必要があります。
1、AがBに代理権を与えること
2、Bが「私はAの代理人Bです」と表示すること
3、BにAのためにする意思(代理意思)があること
4、BC間で有効に法律行為がなされること


◆1
まず代理の要件として、代理人Bは契約をする際に、相手方Cに対して「自分はAの代理人のBです。」ということを表示しなければなりません(上記要件2)。

そうでないと相手方Cとしては、これから結ぶ契約がBとの間のものなのか、それとも他の者との間のものなのかが、わからないからです。普通、Bが何も言わなければ、Cとしては目の前にいるBが契約の相手方だと考えることでしょう。

しかし、代理の場合には、相手方Cの契約の相手方は、Bではなく本人Aです。つまり「A代理人B」であることを示すことによって、Cとしては、目の前にいる人がAの代理人としてやってきたんだ、ということがわかり、これから締結する契約がAC間の契約であることがわかるのです。


もし、Bが「A代理人B」であることを示さなければ、BC間に効果が帰属します。Cとしては、普通は目の前の人が誰かの代理人だとは思いませんし、もし代理人だと思ったとしても、誰の代理人かはわかりません。「私は誰々の 代理人です」と言われなければ、Cとしては、通常は目の前にいるBが契約の当事者であり、Bと契約を結ぶと思うはずです。

要は、Cに「あなたの契約の相手は、BではなくAですよ」ということを知らしめる必要があるわけです(100条本文)。


ところでこのように考えてくると、次のようなことが言えるとも思いませんか?

どういうことかと言いますと、仮にBが「A代理人B」であることを示さなかったとしても、Cが「目の前にいるのはAの代理人Bだ」ということを知っているか、もしくは知りえたというような場合です。

このような場合ならば、AC間で契約が成立してもいいと思いませんか。この場合、Cとしては自己の契約の相手方が誰なのかがわかるからです。

そこで法(100条但書)は、このような場合には、相手方Cの保護に欠けるところはないとして、AC間での契約成立を認めているのです。

よって、肢1は誤っています。


◆2
契約によって発生する権利を有し、義務を負うのはAです(Dは当然)。Bは、負いません。

とすれば、代理人たるBは、どのような人であってもB自身に不利益はないはずです(「どのような」という言い方には語弊があるかもしれませんが)。

よって、法(102条)は、代理人は能力者であることを要しない旨を定めています。これは、制限能力者でもよいことを意味しています。例えば、未成年者でもよいのです。未成年者が代理人になったとしても、未成年者自身は何ら義務を負わないので、未成年者の保護に欠けるところはないわけです。

他方、もし本人Aが制限能力者を代理人に選んだとしても、Aは自ら制限能力者を代理人に選んでいるので、その結果を受け入れるべき立場にあります。本来なら5000万円で売れる土地を、未成年者が判断能力の乏しいばっかりに、3000万円で売却したとしても、Aは自ら未成年者を代理人に選んでいる以上、仕方がないのです。

よって肢2は正しい肢となります。


◆3
AがBを代理人に選任し、BがさらにEを代理人に選任することを復代理と言います。そしてEのことを復代理人と言います。この復代理人を選任できる場合と言うのは、法定代理の場合と任意代理の場合とで異なってきます(104条、106条)。

法定代理の場合には、代理人の責任で常に復代理が認められています。

これに対して任意代理の場合には、@本人の許諾を得たとき、Aやむをえない事由があるとき、のいずれかの場合しか復代理人の選任が認められておりません。これは、任意代理の場合には、本人から直接代理権を授与されるので、それだけ当事者間の信頼関係が厚いと考えられているからです。簡単に言えば、いったん代理権を授与された以上は、きちんと自分で最後までなしとげなさいということです。

よって、代理人Bは、Aの意向にかかわらずいつでも復代理人Eを選任できるわけではありません。

肢3は誤っています。


◆4
BがAとF両方の代理人になる場合を双方代理と言います(108条)。

双方代理の場合、一人で両方の(双方の)代理人をやるわけですから、Bとしては、AかFかいずれかに有利な契約を結ぶことが可能です。

そうすると、他方は、著しく不利です。BがFに有利に契約を結ぶと、Bを信頼して代理人に選任した、Aの利益が害されます。逆に、BがAに有利に契約を結ぶと、Fの利益が害されます。

なので、このような双方代理は無権代理となることにして、AやFの保護を図っています。

この双方代理を無権代理とするのは、本人の利益を保護することが目的です。

ですから、本人の同意があれば有効になります。不利益を受ける者が同意しているわけですから、問題ないわけです。

本肢の場合、「Aの意向にかかわらず」となっており、Aの同意があるとは限りませんので、誤った肢となります。


以上より、正解は肢2です。



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