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解答
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【 解説 】
本問で出題されている相隣関係というのは、お隣さん同士の関係です。本問は条文がそのまま出題されているので、条文を覚えていれば正解にたどり着けます。また相隣関係というのは、わりと常識的に考えると正解にたどり着けることが多いです。
◆1
土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができます(209条1項本文)。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできません(同条同項但書)。民法上はこのように規定されています。
常識的に考えても、境界において障壁を修繕するために必要であれば、必要な範囲内で隣地の使用を請求することができると思いますよね。
よって肢1は正しい肢です。
◆2
そもそもは前提として、他人の土地に勝手に入ることは出来ません。このことは、皆さんも今までの経験の中でわかることだと思います。街の中で「私有地につき立ち入り禁止」という看板を見たことがあると思います。他人の土地に勝手に入るということは、他人の権利(この場合は所有権です)を侵害することになります。
しかし、他の土地に囲まれて公道に通じない土地の場合、その土地を囲んでいる他の土地を通らなければ、公道に出られません。その土地を囲んでいる他の土地の所有者の了解が得られればよいですが、得られない場合には、永遠に他の土地に囲まれて公道に通じない土地から出ることが出来ません。また公道から他の土地に囲まれて公道に通じない土地に行くことも出来ません。人間は瞬間移動することは出来ませんし、ドラえもんじゃないので、どこでもドアはありません。
そうすると、その土地を囲んでいる他の土地の所有者の了解がないときは、他の土地に囲まれて公道に通じない土地を有効活用することができません。せっかく駅から近く、日当たりもよいので家を建てようと思っても、建てることができません。
そこで他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができることにしました(210条1項)。
他の土地に囲まれて公道に通じない土地であれば、公道に出るためにはその土地を囲んでいる他の土地を通行しなければならないわけですから、この権利は認められてしかるべきです。
しかしこの場合には、通行の場所及び方法は、通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければなりません(212条1項)。
自分にとって、都合のいいところを通れるわけではありません。他人の土地の上を通る以上は、当たり前と言えますよね。
よって、本肢は「自由に選んで通行することができる」となっていますので、誤った肢になります。
◆3
隣地の竹木の根が境界線を越えて生えてきたときは、その根を切り取ることができます(233条2項)。
ちなみに隣地の竹木の枝が境界線を越えてきたときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができます(233条1項)。つまり切り取ることを請求することができます。枝の場合には、自分で切ってはいけません。
よって肢3は正しい肢となります。
◆4
境界線から1m未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む)を設ける者は、目隠しを付けなければなりません(民法235条1項)。
簡単に言えば、他人の家を覗き込めるようなところに窓を作る場合には、プライバシーの保護を考えて、目隠しをつけなさいということです。
よって肢4は正しい肢です。
以上より、本問は肢2が正解となります。
【 解き方 】
相隣関係については、一度は条文を読んで、頭の中に入れておいたほうがいいでしょう。
確かに他の土地に囲まれて公道に通じない土地については、有名な判例も出ていますので(最判平2.11.20など)、判例も押さえておきたいところではあります。でもそこまで勉強が進んでいなくても、まずは条文がきちんとわかれば肢を絞れます。本問も条文レベルの問題ですので、これを機会にきちんと条文を押さえておきましょう。条文を押さえるというのは法律学の基礎ですし、これで一点を取れるかどうかというのは、本試験で大きいと思います。
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