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解答
3
【 解説 】
買い受けた不動産に抵当権の登記があるときには、当該不動産を買い受けた第三取得者は抵当権消滅請求をすることができます。
例えば抵当権の登記がしてある不動産を買い受けたとします。売買代金が1000万円で、抵当権消滅請求による金額が800万円だとした場合に、1000万円−800万円=200万円を売主に支払えばよいことにして、第三取得者を保護しています。
そもそもは第三取得者が、売買代金1000万円を売主に支払い、さらに抵当権消滅のためには800万円を抵当権者に支払う必要があります。そしてその後に、第三取得者は自分が支払った800万円を売主に請求することになります。
しかしこの方法ですと、売主が第三取得者に800万円を支払えるかどうかが不明です。
なので、第三取得者を保護するために抵当権消滅請求を認めたのです。
主たる債務者、保証人およびこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることが出来ません(380条)。主たる債務者や保証人は、そもそも債務を全額きちんと支払うべき立場にあるので、抵当権消滅請求を認めるべきではないからです。
抵当権消滅請求をするには、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前であることが必要です(382条)。
抵当権消滅請求をする場合には、第三取得者は383条で規定されている事項を記載した書面を、登記した各債権者に送付しなければなりません。この書面には、不動産を取得した原因および年月日、譲渡人および取得者の氏名および住所、さらには代価等を記載します。要は「こういう人が不動産を取得して、これから消滅請求をしますよ」ということを、登記した各債権者にお知らせするわけです。
たとえ抵当権消滅請求がなされたとしても、抵当権者としてはこの請求を承諾したくないときもありえます。不当に金額が低い等、承諾したくない理由はいろいろでしょう。
この場合には、抵当権者としては383条の書面の送付を受けた後、2ヶ月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしなければなりません。もし競売の申立てをしない場合には、消滅請求を承諾したものとみなされてしまいます。
◆1
保証人は抵当権消滅請求をすることが出来ません。これはたとえ不動産を買い受けて第三取得者になったとしても同様です。
よって誤った肢となります。
◆2
第三取得者が抵当権消滅請求をすることが出来るのは、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前までです。競売による差押えの効力が発生した後は、売却の許可の決定が確定する前であっても抵当権消滅請求は出来ません。
よって誤った肢となります。
◆3
383条に規定されている書面は、登記した各債権者に送付する必要がありますが、この書面について事前に裁判所の許可を受ける必要はありません。
よって正しい肢となります。
◆4
抵当権者が抵当権消滅請求の効果を生じさせないようにするためには、383条の書面の送付を受けた後、2ヶ月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしなければなりません。承諾できない旨を確定日付のある書面で第三取得者に通知しただけでは、抵当権消滅請求の効果が生じています。
よって誤った肢となります。
以上より、正解は肢3となります。
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