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解答




【 解説 】

贈与契約は、簡単に言えば「これあげる」ということです。日常的にもよくあることだと思います。この贈与契約も民法に規定されている契約の中の一つです。

贈与者が受贈者に目的物をあげるわけですが、この贈与契約は売買契約などの他の契約とは違う点がいくつかあります。

この贈与契約の特徴として、通常は贈与者が目的物を受贈者にあげ、受贈者は何も贈与者にあげることはありません。ここが売買契約とは違うところです。売買契約の場合は、売主が目的物を買主に渡しますが、同時に買主は売主に代金を払います。贈与契約においては、この代金の支払いに当たる部分がないのです。

簡単に言えば、受贈者がもらうだけですので、受贈者が一方的に得をしているわけです。

受贈者が一方的にもらうだけですので、贈与契約には贈与契約にしかない特別な規定があります。

書面によらない贈与契約は、履行の終わっていない部分については、各当事者が撤回することができます。簡単につい口で「あげる」って言ってしまったような場合がありうるので、その場合には撤回してよいということです。例えば贈与する人が「やっぱりあげるのは勿体無いから止めた」と思った場合には、撤回することができます。なお、これに関しては「各当事者」が撤回することができますので、もらう人(受贈者)が撤回することも出来ます。もらう人が止めることはないんじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、中古品などをもらう場合には、ありうるのではないかと思います。

書面によらない場合には履行の終わっていない部分について撤回することができますが、贈与契約が書面による場合には撤回することができません。書面まで作成した場合には、つい言ってしまったのではなく、きちんと契約をする意思があるからだということです。なお、もちろん書面によらない贈与契約も、契約自体は口約束だけで有効に成立します。


売買契約の場合には、売主は瑕疵担保責任を負います。他方贈与契約の場合、贈与者は贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わないのが原則です。つまり瑕疵担保責任を負いません。

但し、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、その責任を負います。もう一つ、贈与が負担付贈与だった場合には、贈与者はその負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負うことになります。

負担付というのは、本問にように受贈者が贈与者の生活の面倒をみる代わりに、贈与者が所有している不動産を贈与するということです。「受贈者が贈与者の生活の面倒をみる」というのが、負担付にあたります。

負担付贈与においては、贈与者の贈与と受贈者の負担に対価的な関係があると考えられるので、双務契約に関する規定が準用されます。簡単に言えば、受贈者が負担を負うという点が売買契約における買主が代金を支払う点と同じように考えられるので、売買契約と同じように考えることが出来るということです。

なので、負担付贈与においては、受贈者がその負担をその本旨に従って履行しないときは、負担の不履行を原因として、贈与契約を解除することができます。

負担を履行しないということは、買主が代金を支払わないというのと同視できるということです。


以上を前提に各肢をみていきます。

◆1
贈与契約が書面によってなされた場合には撤回できません。よって肢1は誤った肢です。

◆2
贈与契約は書面にした場合には撤回ができなくなるだけで、書面によらず口約束でも契約自体は成立します。よって肢2は誤った肢です。

◆3
負担付贈与の場合には、負担の限度において贈与者は担保責任を負います。よって肢3は正しい肢となります。

◆4
負担付贈与の場合に受贈者が自分の負担をその本旨にしたがって履行しない場合には、贈与者は贈与契約を解除することができます。よって肢4は誤った肢です。

以上より、肢3が正解となります。



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