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解答




【 解説 】

本問は賃貸借契約と使用貸借契約を比較しながら理解度を問う問題です。賃貸借契約と使用貸借契約は似たような契約ではありますが、使用貸借契約は無償で使用させるという点に違いがあります。つまりタダで使わせてあげるわけです。タダで使わせてあげるわけですから、それだけ当事者間の結びつきが強い契約であると言えます。賃貸借契約も人と人との信頼関係の上に成り立っていますが、使用貸借契約はそれ以上に信頼関係が強い契約というわけです。


◆1
賃貸借契約の場合には、賃借人が賃貸人の承諾を得ないで無断転貸をして第三者に使用収益させたときには、賃貸人は契約の解除をすることができるのが原則です。

これは、賃貸借契約はそもそも賃貸人と賃借人との信頼関係に基づく契約だからです。勝手に他人に転貸しては、いけないわけです。

しかし、背信行為(簡単に言えば、信頼関係を裏切る行為です)と認めるに足らない特段の事情があるときには、賃貸人は解除できません。この場合には、たとえ転貸したとしても、まだ信頼関係は続いていると考えられるわけです。

一方使用貸借契約の場合には、借主は貸主の承諾を得なければ第三者に目的物を使用収益させてはいけません。貸主の承諾を得ないで借主が第三者に使用収益させた場合には、貸主としては契約の解除ができます。

使用貸借契約の場合には、背信行為と認めるに足りるかどうかは関係ありません。第三者に無断で使用収益させれば、それで契約を解除できます。

これは使用貸借の場合には無償で使用させているので、それだけ当事者間の結び付きが強いということです。


◆2
期間の定めがない賃貸借契約の場合、賃貸人も賃借人もいつでも解約の申し入れをすることができます。

但し、賃借人が解約の申し入れをする場合には、正当事由がなければなりません。賃借人を保護するためです。

他方、返還時期の定めがない使用貸借の場合には、使用収益の目的を定めたか否かによって分かれます。
返還時期の定めがないが使用収益の目的を定めた場合には、目的に従い使用収益を終わったときに借主は返還しなければなりません。貸主としては、それまで待たなければなりません。もし使用収益が終わる前であっても、使用収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は直ちに返還請求できます。
返還時期の定めがなく使用収益の目的も定めていない場合には、貸主はいつでも返還請求ができます。

したがって、本肢では使用貸借契約の場合で目的を定めた場合についてはいつでも返還請求できるわけではないため、誤った肢ということになります。


◆3
本問の場合、そもそもAは建物の所有者であり、かつ賃貸人でした。

しかし、本肢ではDに建物を売却したわけですから、所有者ではなくなります。所有者はDです。

ではこのような場合、賃貸人としての地位はどうなるのでしょうか。

ここで、Dが賃貸人としての立場を、Aから引き継がないということになると、Bは建物から出て行かなくてはならなくなります。Bの賃貸借契約は、Aとの間で締結したものであり、Dとの間で締結したものではないからです。

しかし、それではBがかわいそうです。Bは住む所がなくなってしまいます。

そこで、Bを保護するために、Bに建物の引渡し(借地借家法31条1項)があれば、BはDに賃借権を対抗できます。対抗できるということは、Bは賃借を主張して、出て行かなくてよいということです。本肢のように甲建物の引渡しを受けている場合には、賃貸人たる地位はAからDに移転します。Dは賃貸人になるので、Bを追い出すことはできないということです。

他方、使用貸借の場合は主張できません。使用貸借の場合には無料で借りているわけです。普通は無料で貸すというのは、かなり当事者同士の人と人との結び付きが強いということです。

なので、たとえCは建物の引渡しを受けていても、使用借権をDに対して主張することは出来ません。


◆4
賃貸借契約において賃借人が死亡しても、賃借人の地位は相続人が引き継ぎ、契約は終了しません。

他方、使用貸借契約において借主が死亡した場合には、使用貸借契約は終了します。今まで繰り返し述べてきているように使用貸借契約の場合には当事者同士の人と人との結び付きが強いからです。契約をした当事者が死亡したのであれば、契約はそこで終了させるのが妥当であろうということです。

よって肢4は正しい肢となります。


以上より、正解は肢2です。



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