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解答
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【 解説 】
不動産登記法も区分所有法と同じで一問しか出題されません。なので、捨て問にされる方も多いことでしょう。しかも範囲が広く、どこが出題されるかも不明なので、なおのこと捨て問にする方が多いかもしれません。実際問題として、不動産登記法に多くの時間を費やすのは、効率的ではありません。まずは過去問と過去問周辺の論点を押さえて、時間があったら他の論点を学習するという方法がいいのではないかと思います。
◆1
本肢のように、不動産登記法においては「所有者」という言葉と「所有権」という言葉とが出てきます。この両者は意味が違います。不登法においては、この両者は厳密にわけなくてはいけません。
ここで建物を例にして話を進めていきましょう。
建物が土地の上に出来上がります。しかし、建物が出来たからと言って、登記簿まで作られるわけではありません。「建物が出来上がりました」という登記申請を役所(法務局)にしなければなりません。
この申請には、建物がどこにあります(所在)、木造です(構造)、何平方メートルあります(床面積)、「所有者」は誰々です、ということを書かなければなりません。これによって出来上がるのが登記簿です。この申請は表示登記です。この段階では、まだ「所有者」としか記載されません。
この表示登記のあとに、「所有権保存」の登記がなされます。これは権利登記です。よって、「所有権」に関する登記がなされる甲区に記載されます。この所有権保存の登記によってはじめて「所有権」という記載がなされます。このとき、「所有者」の欄は抹消されます。
過去問などで「所有権のない」という出題がなされているときは、依然保存登記がなされていないということなのです。ここの部分をきちんと理解して下さいね。
土地についても同じことがありえます。ある土地が所有者の登記までしかされていない、他方もう一つの土地が所有権の登記がなされている場合です。
本肢のように「表題部所有者または所有権の登記名義人」と記載されているときは、「表題部所有者」は表示登記のみの場合、「所有権の登記名義人」は権利登記までなされている場合を指すわけです。
そして土地の地目について変更があったときは、表題部所有者または所有権の登記名義人は、その変更があった日から1月以内に、当該地目に関する変更の登記を申請しなければなりません。
よって本肢は正しいです。
◆2
表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記についての申請時期については、不動産登記法には特に定めがありません。
なので、変更があったときから1月以内に、当該住所についての変更の登記の申請をしなければならないというわけではありません。
よって本肢は間違った肢ということになります。
◆3
新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければなりません。
よって本肢は正しい肢です。
◆4
建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければなりません。
よって本肢は正しい肢です。
以上より、正解は肢2です。
【 最後の手段 】
本問の肢をそれぞれよく読みますと、肢1(土地の地目)と肢3(表題登記がない建物)、肢4(建物の滅失)は、当該不動産自体について記載されています。それに対して肢2は所有者についてですから、やや肢の内容として記載されている事項が他の肢と異なります。そこで、なんとなく肢2だけ色合いが違うと考え、肢2をマークするという解き方もあります。どうしてもわからない場合の最後の手段です。
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