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解答
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【 解説 】
よく「衣食住」と言いますが、人間が生きていくためにこの三つが最低限必要であると言われています。その中の住について、国土利用計画法が関係してきます。簡単に言いますと、あまりに土地の値段が上がってしまいますと、土地を取得することが難しくなってしまいます。そうすると住むところを確保できなくなり、マイホームを持てなくなる可能性があります。こうなりますと「住」を確保できないわけですから、生活が脅かされる可能性も出てきます。そこで、地価の高騰を抑えて、土地利用を合理的に行うために、この法律があるのです。
◆1
事後届出とは、一定の土地についての権利を、対価を得て移転・設定する契約を締結した場合に、都道府県知事に対して、土地の値段や利用の目的を届け出なければならないことを言います。この場合に届け出なければならないのは、権利取得者本人です。
普通は届け出なければならないのですが、当事者の少なくとも一方が国、地方公共団体もしくはその他政令で定める法人のときには事後届出の必要はありません。この場合は、国などが契約当事者であるため、わざわざ届出をしなくても大丈夫だろうということです。
そして届け出なければならない場合は、ある程度の広さがある場合です。簡単に言えば、狭い場合には届け出る必要がないことになります。
その面積ですが、三段階にわかれています。
都市計画区域内の市街化区域の場合は2,000平方メートル以上です。他方、市街化調整区域の場合は5,000平方メートル以上となります。そして都市計画区域外の場合は1ha(10000平方メートル)以上のときに届出が必要です。
また、届出が必要なのは、対価を得る場合です。なぜかと言うと、対価を得ないならば地価の高騰のおそれは低いと考えられるからです。対価を得る場合の典型例は売買であり、対価を得ない典型例が贈与です。他に相続による場合も届出は不要ですし、時効により取得した場合も同様に不要です。
さらに、届出は契約締結から2週間以内という期間制限もあります。いつでもいいというわけではありません。
よって時効取得した場合には事後届出をする必要はないので、本肢は誤った肢ということになります。
◆2
事後届出があった場合に、都道府県知事は必要があれば勧告をしたり助言をしたりします。事後届出を受けて、それで終わりというわけではありません。
ただ、事後届出をした者が都道府県知事の勧告に従わなかった場合には、その旨及びその勧告の内容を公表することができますが、助言に従わなかった場合にはこのような規定はありません。
よって肢2は誤った肢になります。
◆3
売買の予約をした場合にも事後届出の対象にあたります。売買の予約も契約であることに変わりはありません。よって事後届出の対象になります。
なお、後ほど予約完結権を行使したときには、事後届出の対象にはなりません。すでに事後届出をしているからです。但し、予約完結権の行使内容が、そもそもの売買予約の内容と一致していることが必要です。この内容について届出したわけですから当然ですね。
よって売買予約の場合も事後届出が必要であり、市街化調整区域内で6,000平方メートルの土地であれば事後届出の対象となるので、本肢は正しい肢となります。
◆4
事後届出の場合、土地の面積の算定となるのは土地の取得者の面積です。本肢に即して言えば、FやGがそれぞれどのくらいの面積の土地を取得しているかが問題になるのです。Eがどのくらいの土地を売却するのかは問題ではありません。
本肢ではFが4,000平方メートル、Gが9,000平方メートルです。
そして本肢では該当地は都市計画区域外の土地ですから、1ha(10000平方メートル)以上のときに届出が必要となります。
FとGが取得する土地はいずれも1ha(10000平方メートル)未満ですから事後届出は必要ないことになります。
よって本肢は誤った肢ということになります。
以上より、正解は肢3です。
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