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解答
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【 解説 】
本問はいわゆる自ら売主の制限についての問題です。この自ら売主の場合の制限は、売主が宅建業者で、買主が宅建業者以外の場合に適用があります。ですので、問題文の冒頭にわざわざ「宅地建物取引業者でない買主C」と記載されているのです。
ちなみに自ら売主の制限は、以下の8つです。
1、クーリング・オフ
2、自己所有ではない物件の契約締結について
3、手付金などの保全措置
4、手付金額などの制限
5、損害賠償額の予定の制限
6、瑕疵担保責任
7、割賦販売契約の解除などの制限
8、所有権留保などの禁止について
この8つはきちんと覚える必要がありますよ。
◆ア
本肢は自ら売主の制限の中の「2、自己所有ではない物件の契約締結について」です。この「自己の所有に属しない」ということの意味はいいでしょうか?簡単に言えば、「自分の所有物ではない」ということです。この典型例は、他人の物です。「X所有の建物」というのは、Yからしてみたら他人であるXの物であり、「自己の所有物ではない」建物ということになります。いいですよね!?
ここまでは、まず問題のないところでしょう。
そして、「自己の所有に属しない」物には、もう一つあります。それは「誰のものでもない」という物件です。誰のものでもない以上は「自己の所有物」でもないわけです。
ところで本肢のような他人物売買は、民法上は有効です。民法上は有効となる他人物売買ですが、宅建業法においては、民法の規定が、そのまま当てはまるわけではありません。民法の規定が修正されています。
宅建業法においては、売主たる宅建業者Aは、他人物売買をすることが禁止されています。もし万が一、宅建業者が物件を取得することができなかった場合には、買主は住むところがなくなってしまいかねません。そこでまさに買主の保護のために、このような規定があるのです。
宅建業法上は原則として他人物売買が禁止されているわけですが、例外があります。それは、売主のものになることが確実な場合です。このような場合であれば、なんとなく「それならいいんじゃない」って思えそうですよね。この「売主のものになることが確実である」と言えるためには、契約を締結している場合が挙げられます。この場合には、他人物売買を認めても買主に損害はないだろうということです。
事例に即して言いますと、BA間で売買契約を締結していれば、AはCとの間で売買契約を締結することが出来ます。なお、この場合のBA間の契約は、登記が依然として移転していなくても、構いません。
よって本肢においては、「Bから甲宅地を取得する契約の有無にかかわらず」という点が誤りです。
◆イ
アと同様に、BA間で売買契約を締結していれば、AはCとの間で売買契約を締結することが出来ます。代金の支払いの有無は関係ありません。
本肢においては、「代金の一部を支払う前であっても、Cとの間で売買契約を締結することができる」とするのが正しいです。
よって本肢は誤っています。
◆ウ
宅建業法上は他人物売買が禁止されているわけですが、当該不動産を取得する契約をすでに締結している場合には他人物売買は禁止されていません。他にもう一つ、禁止されていない場合があります。工事について法令の許可等が必要な場合でその許可があり、かつ手付金等の保全措置を講じている場合です。
本肢においては手付金等の保全措置が必要な売買に該当するわけですから、その保全措置を講じておけば売買契約を締結できます。
よってウは正しいです。
以上より誤っているものはアとイであり、正解は肢1となります。
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