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解答
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【 解説 】
ある不動産について、そこの広告が功を奏して、購入希望者や賃借希望者が現れました。この場合、当該希望者に、契約締結前にその物件がどのような物件かを説明する必要があります。これを重要事項の説明(35条の説明ということもあります)といいます。
この説明義務は宅建業者が負っていますが、実際の説明は取引主任者がなす必要があります。
重要事項の説明は、買主(賃貸借のときは借主)にのみすればよいです。売主にする必要はありません。これは、その物件の購入希望者に対して、その物件がどのような物件なのかを説明する必要があるからです。ですから、これから当該物件を利用する買主(借主)に対して説明する必要があるわけです。
この重要事項の説明は、実務的にも宅建試験としても非常に重要なところです。よく理解し、覚えておく必要があります。宅建試験では、何が重要事項なのかという点がよく出題されています。
◆1
建物の売買・交換やその媒介・代理を行う場合で、その建物が歴史的風致形成建造物であるときには、その増築に際し市町村長への届出が必要である旨を説明することになっています。そもそも歴史的風致形成建造物の増築、改築、移転又は除却をしようとする者は、当該増築、改築、移転又は除却に着手する日の30日前までに、行為の種類、場所、着手予定日その他主務省令で定める事項を市町村長に届け出なければなりません。これは、それだけ歴史的風致形成建造物を保護しようとしているからです。ですので、賃貸借のときには届け出る必要はありません。建物自体はそのままの形で残るからです。
よって本肢は正しい肢です。
◆2
建物の売買を行う場合、当該建物について石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときには、その内容について重要事項として説明をしなければなりません。
他方、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されていないときには、売主に補足情報の告知を求め、それでも判明しないときにはその旨を説明すれば足ります。つまりこの場合には、宅地建物取引業者が石綿の使用の有無について調査をする義務までは課されていません。なお、これは売買の場合に限らず、交換や貸借の場合も同様です。
本肢においては「Aは、自ら石綿の使用の有無の調査を行った上で」となっておりますが、そこまでの義務は課されていません。
よって本肢は誤っています。
◆3
借地借家法第38条第1項の規定に基づく定期建物賃貸借契約とは、公正証書による等の書面によって契約をする時に限り、契約の更新がないこととする旨を定めることができる賃貸借契約のことです。契約の更新がないわけですから、賃貸人側に有利な契約と言えます。逆に言えば賃借人側に不利です。なので、その旨を賃借人にあらかじめ説明しておく必要があります。ゆえにAは重要事項として説明しなければなりません。
よって本肢は正しいです。
◆4
建物の賃貸借契約においては、敷金その他契約終了時において清算することとされている金銭の清算に関する事項が、重要事項とされています。
建物の賃貸借契約においては敷金が戻ってくるのか、明け渡すときに清算事項はあるのか、というのは大きな問題です。アパートにお住まいになったことのある方は、おわかりだと思います。大きな問題ですから、重要事項とされています。
よって本肢は正しい肢となります。
以上より、誤っているのは肢2で、正解は肢2となります。
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