「これで宅建合格」のトップページ平成21年過去問>第37問

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解答




【 解説 】

自ら売主の場合の制限についての出題です。本問のように、問題文に「自らが売主である」と記載がある場合には、自ら売主の制限についての出題ではないかと疑ってみるとよいでしょう。
ところで自ら売主の場合の制限は、全部で8つあります。
 1、クーリング・オフ
 2、自己所有ではない物件の契約締結について
 3、手付金などの保全措置
 4、手付金額などの制限
 5、損害賠償額の予定等の制限
 6、瑕疵担保責任
 7、割賦販売契約の解除などの制限
 8、所有権留保などの禁止について


◆1
本肢は5番目の損害賠償額の予定等の制限についての出題です。この損害賠償額の予定等については、金額が制限されています。代金の額の10分の2までです。この場合に、手付を別途定めていても、手付の金額は関係ありません。本問においては、代金が2000万円ですから、損害賠償額の予定等の制限は、
2000万円 × 10分の2 = 400万円
となります。

よって肢1は誤っています。


◆2
宅建業法の手付は、民法の手付とは異なり当事者がどのような特約をしようとも、解約手付の性質を有します。また特約を結んでも、買主に不利な特約は、無効となります。しかし、買主に有利な特約は、有効です。これらの基本にあるのは、宅建業法の基本である、一般消費者の保護です。

ところで肢2を見ていくと、「Bが手付金の放棄による契約の解除ができる期限について、金融機関からBの住宅ローンの承認が得られるまでとする旨の定め」をしています。これは買主に不利な特約です。よってこの特約は無効です。

ですので、Aは住宅ローンの承認が得られようが得られまいが、自らが履行に着手した後であれば、Bの手付放棄による契約の解除を拒むことが出来ます。

ちなみに手付放棄による契約解除が出来る時期について、民法が「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは」となっているのは、相手方が履行に着手した場合には契約を解除できないとする趣旨です。履行に着手した者は、契約の履行への期待が大きいということです。相手方が履行に着手していなければ、自らが履行に着手していたとしても、手付放棄による契約解除は可能です。


よって肢2は誤っています。


◆3
クーリング・オフは書面でなす必要があります。そしてその効力は、書面を発したときに生じます。書面が相手方に到達したときではありません。

また、全ての場合に、いつでもクーリング・オフできるわけではありません。それでは売主がたまったものではありません。

まず、書面でクーリング・オフできると告げられてから8日間経過したときは、できなくなります。いつまででもクーリング・オフできるとすると、今度は売主に酷です。バランスです。ここはやはり期間制限があります。換言すれば、クーリング・オフするには、8日間経過前にする必要があります。

次に、どこで申し込みをしたか、契約を締結したかによっても、できない場合があります。申込を事務所等でした場合には、クーリング・オフできません。この場合、実際の契約の締結をどこでしたかは問題ではありません。もちろん、申込と契約締結が同じ場所でなされた場合には、事務所等でなされた場合にはクーリング・オフできません。事務所等で申込をした場合には、買主の「買う意思」は間違いのないものと言ってよいからです。換言すれば、申込を事務所等以外の場所で行った場合にはクーリング・オフできることになります。

最後に、物件の引渡しを受けて、かつ代金全額をすでに支払ってしまったときも、クーリング・オフできません。

本肢のように、代金全部の支払はしたものの、まだ引渡しを受けていないような場合には、クーリング・オフができることになり、Aは拒むことはできません。

よって本肢は正しいです。


◆4
本肢は自ら売主の制限の中の「8、所有権留保などの禁止について」の出題です。

宅建業法においては、宅建業者が自ら売主となる場合には、所有権留保は禁止されています。これは所有権留保を認めると、売主が二重譲渡をしかねないからです。しかし売主たる宅建業者が受け取った金額が、代金額の10分の3以下だった場合には、所有権留保が認められています。この場合には、受け取った金額が少ないので、宅建業者たる売主の利益を考えて、所有権留保を認めているのです。

以上のことを本肢に当てはめてみますと、
3000万円 × 10分の3 = 900万円
を受けるまでに、当該宅地に係る所有権の移転登記をしなければならないことになります。

本肢では1500万円となっておりますので、この点が誤りです。


以上より、正解は肢3です。



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