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解答




【 解説 】

制限行為能力者には、未成年者、成年被後見人、被保佐人、補助人の同意を要する旨の家庭裁判所の審判を受けた被補助人がいます。それぞれの意義や単独で出来ることは何か等を押さえておくとよいでしょう。


◆肢1
未成年者とは20歳未満の者です。この未成年者が法律行為(例・契約)をするには、法定代理人の同意が必要です。ただし、単に権利を得、または義務を免れる法律行為については、同意が不要です。また、未成年者が婚姻すれば成年擬制が働きますので、成年と同様に扱われ、法定代理人の同意は不要となります。

確かに土地を売却すると、土地の管理義務を免れます。しかし土地の所有権という大きな権利を失うことになります。土地の売却というのは、単に義務を免れるだけではありません。判断能力の乏しい未成年者が、都心の土地を安価で売却してしまうような状況を考えれば、法定代理人の同意なくして土地の売却をすることを認めることは出来ません。

よって肢1は誤っています。


◆肢2
成年被後見人とは、精神上の障害によって事理を弁識する能力を欠く常況にある者を言います。「事理」とは、「物事」というような意味だと考えて下さい。

成年被後見人は、家庭裁判所の審判によって開始されます。このときに、成年後見人が選任されます。簡単に言えば、成年後見人が成年被後見人の面倒をみるわけです。この成年後見人は法定代理人です。ですから代理権を有していますので、被成年後見人の財産を管理したり処分したり出来るのが原則です。

しかし、居住用建物やその敷地については別です。これらについて売却、賃貸、賃貸借の解除または抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。もし許可を得ないで売却したような場合には、無効となります。

これは居住用の建物や敷地は生活の本拠であり、いくら成年後見人が被成年後見人のために売却するとは言っても他人にはわからない思い入れがあることも多々あることなどに鑑みて、家庭裁判所の許可を必要としたのです。

よって本肢は正しいです。


◆肢3
被保佐人とは、精神上の障害によって事理を弁識する能力が、著しく不十分な者のことです。「著しく不十分」という点が、成年被後見人と異なります。

被保佐人とされるには、家庭裁判所の保佐開始の審判を受ける必要があります。 そして家庭裁判所で保佐開始の審判がなされると、保佐人という人が選任されます。簡単に言えば、保佐人が被害を被らないように面倒をみる人です。

ところで被保佐人については、不動産を売却する場合には保佐人の同意が必要ですが、日用品を購入する場合には保佐人の同意は必要ありません。例えばトイレットペーパーを買うたびに、いちいち保佐人の同意を必要とするのは大変ですし、日用品の購入であれば保佐人が財産を喪失するおそれもほとんどないからです。

なお、被成年後見人についても自分で日用品を購入できますし、成年後見人は被成年後見人が日用品を購入した場合に取消できません。

よって肢2は誤っています。


◆肢4
被補助人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者をいいます。「著しく」の点が被保佐人と異なります。家庭裁判所から補助人の同意を要する旨の補助開始の審判がなされます。

被補助人は、被保佐人よりもさらに事理弁識能力が高いです。よって、被保佐人と同様、重要な財産上の取引以外は単独でできます。つまり、取消の対象になりません。

被補助人と被保佐人の違いは、何をもって重要な財産上の取引とするかという点にあります。被保佐人の場合は法定(民法で決まっている)されているのに対し、被補助人の場合は、審判開始のときの審判によって決まります。それぞれの被補助人の状況ごとに、決定されるのです。

ですから、「常に」補助人の同意が必要となるわけではありません。何について同意が必要となるかは家庭裁判所の審判で決まります。ここで決まったこと以外は単独で出来ます。

よって肢4は誤っています。


以上より正解は肢2です。



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