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解答
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【 解説 】
時効は論点が多く、かなり難解な箇所もあるので、深く勉強をし始めると、非常に難しいです。ただ、宅建試験の合格を考えたときに、深い勉強は得策ではありません。条文や判例を中心として、基本的な事項を押さえておきましょう。
◆肢1
そもそも債権は継続的に(準)占有するというものではないので、原則として取得時効の対象にはなりません。しかし、賃借権のような物権化の傾向が著しい債権については、継続的に(準)占有するという概念を認めることが出来ます。簡単に言えば、ずっと使っているという状態を、誰が見てもわかるわけです。
そこで賃借権については、判例も取得時効を認めています。問題はその要件です。判例は@目的物の継続的な用益という外形的事実の存在と、Aその用益が賃借の意思に基づくことが客観的に表現されていることを、要件としています。
よって本肢は誤っています。
◆肢2
取得時効が成立するためには、自己の所有物の中に、たまたま他人の所有物が含まれていてもかまいません。
よって本肢は正しいです。
◆肢3
時効期間は、時効の基礎たる事実が開始された時を起算点としなければなりません(判例)。取得時効の場合には占有を開始したときから、消滅時効の場合には権利を行使しうるときから、それぞれ起算するのが原則です。時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできません。
よって肢3は正しいです。
◆肢4
地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができます。明文規定があります(283条)。
よって肢4は正しいです。
以上より正解は肢1です。
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