「これで宅建合格」のトップページ平成22年過去問>第5問

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解答




【 解説 】

抵当権について広く知識を問う問題です。出題内容は難しくはなく、基礎的な事項です。抵当権は民法の中では最重要事項の一つですし、宅建試験におきましては頻出事項で、毎年のように出題されています。


◆肢1
抵当権も物権ですから、物権同士のいずれが優先するかは登記の先後によるのが原則です。契約の先後は関係ありません。Cを抵当権者とする抵当権設定登記の方がBを抵当権者とする抵当権設定登記より先になされたときには、Cを抵当権者とする抵当権が第1順位となります。

よって肢1は正しいです。


◆肢2
本肢において抵当権の目的になっているのは土地と建物です。ですから通常は抵当権を行使する対象は土地と建物です。これが原則です。

しかし抵当権の目的となっている建物に火災保険が付されていて、その建物が火災によって焼失してしまった場合には、抵当権者は、その火災保険契約に基づく損害保険金請求権に対しても行使することができます。これは、火災保険は建物の価値が変形したものと考えられるからです。

そもそも抵当権というものは、厳密に言いますと抵当権の目的物の価値を把握しているわけです。もし債務者が金銭を弁済できなくなった場合には、抵当権者としては抵当権の目的物を競売し、競売した結果の金銭の中から債務を弁済してもらうわけです。つまり抵当権者が掴んでいるものは、抵当目的物というよりは、その目的物が有している価値なのです。

ですので、建物が火災によって焼失してしまった場合で、火災保険契約に基づく損害保険金請求権が行使できるような場合には、それは建物の価値が変形したと考えられ、それに対しても抵当権を行使することができます。これを物上代位と言います。なお、同じ理由で建物の賃料に対しても行使することができます。

よって肢2は正しいです。


◆肢3
Bの抵当権設定登記後にAがDに対して当該建物を賃貸した場合、そのまま普通に考えれば抵当権が賃借権に勝ちます。対抗要件を先に備えた方が勝つからです。つまりDの賃借権は抵当権に対抗できないわけです。となれば、当該建物をDが使用している状態であっても抵当権が実行され当該建物が競売された場合には、Dとしては建物を明け渡さなければならなくなりそうです。

しかし、競売手続の開始前から当該建物を使用している者は、当該建物の買受人の買受の時から6ヶ月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しません(395条1項)。言うまでもなく賃貸人の保護のためです。

よって本肢は正しいです。


◆肢4
そもそも抵当権は、前の抵当権があると次の抵当権の設定が出来ないという性質のものではありません。抵当権は、債権者と不動産所有者との合意があれば、いくつでも設定することが出来ます。このことは被担保債権額が不動産の価格を超えていても、関係ありません。

よって肢4は誤っています。


以上より、正解は肢4です。



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