「これで宅建合格」のトップページ平成22年過去問>第7問

これで宅建合格>宅建過去問


解答




【 解説 】

◆まず肢1です。
債権者代位権を認める必要があるとは言いましても、他人の権利を行使するわけですから、債権者の都合がよければ常に認めるというわけにはいきません。やはり債務者の利益も考えなければなりません。

債権者代位権の要件は、次の通りです。
1、債権を保全する必要があること
2、債務者が権利行使しないこと
3、被保全債権が履行期にあること
ですから、債務者が既に自ら権利を行使している場合には、債権者は、自己の債権を保全するため、債権者代位権を行使することは出来ません。

よって肢1は誤っています。


◆次に肢2です。
債権者代位権の転用の場面です。
まず未登記建物の場合、売主が所有権保存登記をし、そのあとに買主に対して所有権移転登記をすることになります。つまり所有権移転登記をするためには、所有権保存登記しなければなりません。その所有権保存登記は売主が単独ですべき手続です。その手続を売主がしていないわけです。また買主としては、売主に対して所有権の移転登記をするように請求する権利を有しています。とすれば、買主としては自己の所有権移転登記を保全するために、売主の所有権保存登記手続を行うことが出来ることを認めてほしいはずです。よって当該建物の所有権保存登記手続を行うことができる場合があります。

よって肢2は正しいです。


◆続いて肢3です。
これも債権者代位権の転用の場面です。
建物の賃借人は、賃借した建物を使用収益する権利を持っています。そしてそれを賃貸人に主張できます。もしこれが出来なければ、賃料は払うが建物は使えないということになってしまいます。これでは何のために借りたのかわかりません。

建物に不法占有者がいたら、賃借人としては建物を使用収益することができません。他方、賃貸人は所有者ですから、所有権に基づく明渡請求権を有しています。

そこで賃借人が賃貸人に対して有する使用収益を求める債権を被保全債権として、賃貸人に代位して、当該建物の不法占有者に対し当該建物を直接自己に明け渡すよう請求できる場合があります(最判昭29.9.24)。

よって肢3は正しいです。


◆最後に肢4です。
これも債権者代位権の転用です。
抵当権設定者には、抵当不動産の価値が減らないようにする義務があります。ですから当該不動産に不法占有者がいることによって価値が下落するおそれがあるような場合には、抵当権設定者としては、その不法占有者を排除する義務があります。

抵当権者は、抵当不動産の所有者に対し当該不動産を適切に維持又は保存することを求める請求権を有しています。

したがって抵当権者は、抵当不動産の所有者に対し当該不動産を適切に維持又は保存することを求める請求権を被保全債権として、当該不動産の所有者の妨害排除請求権を代位行使し、当該不動産の不法占有者に対しその不動産を直接自己に明け渡すよう請求できる場合があります(最判平11.11.24)。

よって肢4は正しいです。


以上より正解は肢1です。



[平成22年過去問ページへ]


[トップページへ戻る]

本サイトに記載してあることは、私の考えと経験が元になっており、すべての人の合格を保証できるものではありません。
Copyright(C)2011 後藤行政書士事務所 All Rights Reserved.
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送