「これで宅建合格」のトップページ平成22年過去問>第9問

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解答




【 解説 】

本問は最判平成8年11月12日をもとにしているものと思われます(民集50.10.2673)。判例百選にも載っています(民百選U(5版)45)。

通常は同一当時者間に甲契約及び乙契約といった2個以上の契約がある場合には、甲契約に債務不履行があった場合には甲契約を解除でき、乙契約に債務不履行があった場合には乙契約をそれぞれ解除できるだけです。つまり甲契約に債務不履行があった場合に、それを理由として債権者が法定解除権の行使として甲契約と併せて乙契約をも解除することは出来ないのが原則です。


◆まず肢1についてです。
判決文には「相互に密接に関連付けられていて」とあることから、甲契約と乙契約との間に密接関連性がある場合について述べていることがわかります。通常は同一当事者間で甲契約と乙契約の二つの契約を締結したとしても、甲契約上の債務の不履行を理由に甲契約と合わせて乙契約をも解除できるわけではありません。

したがって同一当事者間で甲契約と乙契約がなされても、それらの契約の目的が相互に密接に関連付けられていないのであれば甲契約上の債務の不履行を理由に甲契約と合わせて乙契約をも解除できるわけではありません。

よって肢1は正しいです。


◆次に肢2です。
判決文では「(甲契約と乙契約)の目的とするところが相互に密接に関連付けられていて、社会通念上、甲契約又は乙契約のいずれかが履行されるだけでは契約を締結した目的が全体としては達成されないと認められる場合には、」甲契約上の債務の不履行を理由に、その債権者が法定解除権の行使として甲契約と併せて乙契約をも解除することができるとしています。

判決文には「乙契約の目的の達成に必須であると乙契約の契約書に表示されていたときに限り」という要件は述べられていません。

よって肢2は誤っています。


◆続いて肢3です。
判決文では「甲契約上の債務の不履行を理由に、その債権者が法定解除権の行使として甲契約と併せて」となっております。甲契約を解除できる場合に、併せて乙契約も解除できるわけです。そもそも付随的義務の不履行だけでは甲契約を解除できません。なので、乙契約も解除することは出来ません。

よって肢3は正しいです。


◆最後に肢4です。
最判平成8年11月12日の判例は、まさに本肢のような事案での判決文です。
スポーツクラブ会員権契約(甲契約)とリゾートマンションの区分所有権の売買契約(乙契約)は、まさに本判決における甲契約と乙契約の関係にあると言えます。

よって肢4は正しいです。


以上より正解は肢2です。



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