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解答
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【 解説 】
◆まず肢1についてです。
民法上は、建物の賃借権が対抗力を具備するには、賃借権が登記されなければならない(民法605条)。しかし、借地借家法において、この規定は修正されています。借地借家法においては、建物の賃借権が対抗力を具備するためには、建物の引渡しがあればよいとされています(借地借家法31条T)。
賃借権を登記するためには、賃貸人の協力が必要です。しかし、賃貸人の立場からすれば、このようなことに協力すれば、自分の立場が不利になるので、協力しません。なので、登記などなされないわけです。そこで建物の引渡しがあれば建物の賃借権が対抗力を具備するとして、賃借人を保護しているのです。
よって肢1は正しいです。
◆次に肢2です。
賃貸借契約は、当事者間に信頼関係があることが大きな要素となっている継続的な契約です。その賃貸借契約を解除するような場合には、その信頼関係が破壊されていることが通常です。よって信頼関係が破壊されていると認められるような場合で、契約の継続が著しく困難な場合には催告せずに契約を解除できます(最判昭27.4.25)。
よって肢2は誤っています。
◆続いて肢3です。
定期建物賃貸借契約(借地借家法38条)であっても造作買取請求権を行使することは出来ます。造作買取請求権を排除するためには、特約で排除する旨を定めなくてはなりません。本肢では造作買取請求権を排除する特約がないわけですから、Aは造作買取請求権を行使できます。
よって肢3は正しいです。
◆最後に肢4です。
定期建物賃貸借契約(借地借家法38条)においては、賃料の改定についての特約がある場合には、借賃増減請求権は行使できません(借地借家法38条Z)。しかしこのような特約がない場合には、普通の建物賃貸借と同様に賃料の増減請求権を行使できます(借地借家法32条T)。
よって肢4は正しいです。
以上より、正解は肢2です。
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