「これで宅建合格」のトップページ平成22年過去問>第23問

これで宅建合格>宅建過去問


解答




【 解説 】

贈与税の課税制度の中に、相続時精算課税制度という制度があります。この制度は、贈与者(あげる人)は65歳以上の親、受贈者(もらう人)は贈与者の推定相続人である20歳以上の子(子が亡くなっているときには20歳以上の孫を含みます)の場合に利用できる制度です。簡単に言えば、親が子に財産をあげる場合に利用できる制度です。

相続時精算課税制度を利用する場合には、まず贈与時に贈与財産に対する贈与税を納めます。そして贈与者(親)が亡くなった時に、その贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税と相続税を通じた納税を行うというものです。

相続時精算課税制度には、贈与財産の種類や金額、贈与回数に制限はありません。そしてこの場合の贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額が2500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります)を控除した後の金額に、一律20パーセントの税率を乗じて算出します。

相続時精算課税を利用した者(子)に係る相続税額は、相続時精算課税に係る贈与者(親)が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。例えば、すでに贈与税として200万円を納めている場合に、相続税が300万円だった場合には、100万円(300万円―200万円)が相続税額ということになります。

なお、相続時精算課税制度を利用した場合には、暦年課税の制度を利用することはできません。

以上が相続時精算課税制度ですが、この相続時精算課税制度の特例という制度があります。

平成23年12月31日までに、親から住宅取得等資金の贈与を受けた20歳以上の子が、贈与を受けた年の翌年の3月15日までにその住宅取得等資金を自己の居住の用に供する一定の家屋の新築若しくは取得又は自己の居住の用に供している一定の家屋の増改築等の対価に充てて新築若しくは取得又は増改築等をし、その家屋を同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日以後遅滞なく自己の居住の用に供することが確実であると見込まれるときには、住宅取得等資金の贈与者である親が65歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。これが相続時精算課税制度の特例です。

簡単に言えば、親から住宅取得等資金の贈与を子が受けた場合には、親が65歳未満であっても相続時精算課税制度が利用できるということです。


◆1
相続時精算課税制度の特例を利用できるのは、住宅取得等資金の贈与を受けた場合だけです。ようするにお金をもらった場合だけということです。相続時精算課税制度には、贈与財産の種類に制限はありませんが、相続時精算課税制度の特例の場合には贈与財産の種類が決まっています。

よって肢1は誤っています。


◆2
相続時精算課税制度の特例は、それぞれの贈与者ごとに適用を受けることができます。父母双方が65歳未満でなければならないということはありません。いずれかが65歳未満であれば、その親からの贈与については適用を受けることができます。例えば父親が70歳で母親が63歳の場合、父親からの贈与について相続時精算課税制度の特例を受けることはできませんが、母親からの贈与については相続時精算課税制度の特例をうけることができます。なお、この場合に父親からの贈与については、相続時精算課税制度の適用を受けることは可能です。

よって肢2は誤っています。


◆3
相続時精算課税制度の特例の適用を受けるための受贈者(もらう側)の所得制限はありません。いくら所得があってもかまいません。

なお、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の適用については、所得制限があります。この場合には受贈者の合計所得金額が2000万円を超えている場合には適用を受けることができません。この制度は、平成23年12月31日までに直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、一定の金額まで非課税となる制度です。この制度は、暦年課税制度と相続時精算課税制度のいずれかの控除額と合わせても適用可能です。


◆4
相続時精算課税制度の適用を受ける場合の贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額が2500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります)を控除した後の金額に、一律20パーセントの税率を乗じて算出します。簡単に言えば、2500万円までは贈与税は課されません。2500万円を超える場合は、一律20パーセントの贈与税がかかるわけです。

しかし、相続税については一律20パーセントの税率が課されるわけではなく、相続財産の金額によって税率は異なります。

どの場面で課される税金が20パーセントになるのか、またどのような税金が課されるのか、正確に覚えておく必要があるでしょう。


以上より、正解は肢3です。


【 解き方 】
問われている内容はさほど難しいことではありませんが、ここまで勉強が進んでいる受験生は少ないと思います。そういう意味では難問の部類に入る問題だと思います。相続時精算課税制度は実務的には非常に重要ですが、試験合格ということを考えた場合に、この分野にそれほど時間をかけられないと思います。ただ正解肢は改正があった点なので、法改正を押さえていた方は正解した可能性が高いです。そういう意味では直前期に法改正を押さえておくことは、1点のためには必要と言えるかもしれません。そうは言っても、合格者の中にも本問がわからず、捨て問にした方も多いことでしょう。ただ正解肢が3なので、適当に3にマークしたけど正解したという方がけっこういるのではないかと思います。



[平成22年過去問ページへ]


[トップページへ戻る]

本サイトに記載してあることは、私の考えと経験が元になっており、すべての人の合格を保証できるものではありません。
Copyright(C)2011 後藤行政書士事務所 All Rights Reserved.
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送