「これで宅建合格」のトップページ平成22年過去問>第40問

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解答




【 解説 】

自ら売主の場合の制限についての出題です。本問のように、問題文に「自らが売主である」と記載がある場合には、自ら売主の制限についての出題ではないかと疑ってみるとよいでしょう。
自ら売主の場合の制限は、全部で8つあります。
 1、クーリング・オフ
 2、自己所有ではない物件の契約締結について
 3、手付金などの保全措置
 4、手付金額などの制限
 5、損害賠償額の予定等の制限
 6、瑕疵担保責任
 7、割賦販売契約の解除などの制限
 8、所有権留保などの禁止について


◆1
自ら売主の中の6、瑕疵担保責任についての出題です。自ら売主の場合、宅建業法上、民法の瑕疵担保責任の規定よりも買主に不利な特約は、無効となります。ただし、これには例外があります。売主が瑕疵担保責任を負うことを、「引渡しの日から2年以上」とすることは有効です(40条1項)。

この宅建法上の規定は、具体的には例えば「引渡の日から2年(または3年、4年)」という特約を結んだ場合、引渡してから5年経って瑕疵の存在に気づいても、売主に対して責任追及できないということです。ちなみに民法上は、買主が知った時から1年ですから、もし民法の規定に従えば、5年経ってからでも、気づいてから1年以内であれば責任追及できます。

ですから民法の規定よりも買主に不利と言えるわけですが、この特約は有効となります。

なお、「2年以上」ですから、「2年」は有効です。

よって肢1は正しいです。


◆2
自ら売主の中の5、損害賠償額の予定等の制限についての出題です。損害賠償額の予定等の制限は、損害賠償の予定額と違約金の額を合算した額が売買代金の10分の2を超えてはいけません。そして超えた部分については無効となります。本肢においては、損害賠償の予定額を300万円とし、かつ、違約金を300万円としています。合算すると600万円となって、売買代金の3割となってしまいます。ゆえにこのような特約は出来ません。

よって肢2は誤っています。


◆3
自ら売主の中の4、手付金額などの制限についての出題です。民法上、手付契約を締結した場合には、手付を放棄して契約を解除することが出来ます。ただし、「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは」(557条1項)と定めて、解除のできる時期にしばりをかけています。ここで、履行に着手する前であれば解除できるとした趣旨は、自ら履行に着手した者は、契約の履行への期待が大きいからです。履行に着手をなした段階で相手方より契約を解除されると、それまでの努力も期待もすべてが無になってしまいます。それではかわいそうだからです。よって、「履行に着手するまで」として、解除できる時期を制限しているわけです。

ところで宅建業においては、民法の手付とは異なり、宅建業法の手付は当事者がどのような特約をしようとも、解約手付の性質を有します。そして当事者間で特約を結んでも、買主に不利な特約は、無効となります。他方、買主に有利な特約は有効です。これによって買主を保護しているわけです(39条)。

そこで本肢を見てみますと、「A(宅地建物取引業者)が契約の履行に着手した後であっても、B(買主)は手付を放棄して、当該売買契約を解除することができる」とする特約を締結しています。Aが履行に着手していたとしても、Bは解除することができるわけですから、この特約は明らかに買主に有利な特約ですから、有効となります。

よって肢3は誤っています。


◆4
自ら売主の中の2、自己所有ではない物件の契約締結についての出題です。民法上は、他人物売買は有効ですが、宅建業法においては、民法の規定がそのまま当てはまるわけではありません。民法の規定が修正されています。宅建業法においては、売主たる宅建業者Aは、他人物売買をすることが禁止されています(33条の2柱書)。まさに買主の保護です。

ただし、宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得する契約を締結しているときには、他人物売買を締結することが出来ます。この場合には当該物件が売主のものになることが確実と言えるからです。

本肢においては、Aは当該宅地を取得する契約を締結し、さらにその効力が発生している場合ですので、Bとの間で売買契約を締結することができます。なお、契約を締結していれば、登記が依然として移転していなくても構いません。

よって肢4は誤っています。


以上より、正解は肢1です。


【 解き方 】
自ら売主の全般について出題されています。どの肢も基本的事項に属する知識であり、迷うような肢はないのではないでしょうか。正解肢である肢1の「引渡しの日から2年以上」とすることが有効であることは過去にも出題されている基本的事項です。合格するためには絶対に落とせない問題です。



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