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解答




【 解説 】

意思表示に関する問題です。錯誤、詐欺、強迫から出題されています。宅建試験頻出分野です。

◆まずは肢1です。
錯誤の中の動機の錯誤についてです。そもそも錯誤というのは、心の中の真実の意思と実際に口に出した意思が食い違う場合で、しかも本人がそのことを知らない場合を言います。法律行為の要素に錯誤があった場合には、その意思表示は無効です。

では、動機に錯誤があった場合にはその意思表示が無効になるのでしょうか。結論から言いますと、意思表示をした者が意思表示の内容として相手方に表示しなければ錯誤として無効にはなりません(最判昭29.11.26)。これは、動機は心の中の真実の意思を形成する前段階のことなので、心の中の真実の意思と実際に口に出した意思とは食い違ってはいないということです。ただし動機が表示され、法律行為の内容となった場合には、錯誤無効となりえます。

本問においては、Bは「勝手に思い込んで」いるだけなので、錯誤として取り扱われることはありません。また、そもそも錯誤に該当した場合には無効となるのであり、取り消すことができるわけではありません。本肢は二重の意味で誤っていると言えます。

よって肢1は誤っています。


◆次に肢2です。
詐欺されたことによって意思表示をした場合には、詐欺を理由として取消すことが出来ます。

では、その詐欺が第三者による場合にはどうなるのでしょうか。いわゆる第三者による詐欺です。この場合には、契約の相手方(本肢のA)が悪意であれば(CがBを騙して、その結果Bが契約をしていることをAが知っているならば)、Bは契約を取り消すことが出来ます。

本肢のAはCによる詐欺の事実を知っているので、Bは本件売買契約を詐欺を理由に取り消すことが出来ます。

よって肢2は誤っています。


◆続いて肢3です。
肢2に続いて詐欺についての問題です。本肢は、いわゆる取消後の第三者の場合です。詐欺を理由として契約を取消した後に、第三者が現れた場合です。本肢のように第三者が契約取消後に現れた場合には、取消した者と第三者との関係は対抗関係となります。ですから本肢のように第三者Dが所有権移転登記を備えた場合には、AはDから甲土地を取り戻すことができません。

よって肢3は誤っています。


◆最後に肢4です。
強迫されたことによって意思表示をした場合には、強迫を理由として取消すことが出来ます。

では、第三者が現れた場合にはどうなるのかが、本肢での問題です。Eは、Aが強迫を理由に取消す前に現れています。つまり強迫取消前の第三者です。強迫取消の場合には、第三者Eはたとえ善意であっても保護されません。詐欺取消の場合と異なる点です。詐欺の場合よりも強迫された人のほうが保護すべき要請が強いからだと言われていますね。

したがってAは、強迫を理由とする取消をした場合には、EがBによる強迫につき知らなかったときであっても、Eから甲土地を取り戻すことができます。

よって本肢は正しいです。


以上より正解は4です。



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