「これで宅建合格」のトップページ平成23年過去問>第2問

これで宅建合格>宅建過去問


解答




【 解説 】

本問は条件についての出題です。条件の中の停止条件です。そもそも条件というのは、法律行為(例えば「契約」です)の効力の発生または消滅を、将来の不確定な事実の成否にかからしめる法律行為の附款を言います。効力が発生するほうの条件のことを、停止条件と言い、効力が消滅するほうの条件のことを、解除条件と言います。

停止条件について、具体例を挙げてみていきましょう。条件の典型例は「今年試験に合格したら、お金をあげる」というものです。この事例は、いろいろなところで出てくる事例だと思います。皆さんも似たような約束しているかもしれませんね。

この「お金をあげる」というのは、贈与契約です。つまり法律行為です。その法律行為に、「今年試験に合格したら」という条件がくっついているわけです。この「今年試験に合格したら」というのは、将来の出来事で、しかも今年試験に合格するかどうかは、不確定な事実と言えます。要するに、誰にもわからないわけです。ですから、この「今年試験に合格したら」という将来の不確定な事実の成否によって、「お金をあげる」という贈与契約が発生するかどうかが決まるということになります。

条件や期限といった分野は、普段はなかなか勉強しない分野ではないかと思います。これを機会に基本的なことを押さえておきましょう。


◆まずは肢1です。
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が、故意に条件の成就を妨害した場合には、相手方は条件が成就したものとみなすことが出来ます(民130条)。これは相手方保護のためであり、自ら故意に条件成就を妨げておきながら、条件が成就していないと主張することは信義に反するからです。

したがって本肢のBが甲不動産の売却を故意に妨げたときには、Aは停止条件が成就したものとみなしてBにAB間の売買契約の履行を求めることが出来ます。

よって本肢は正しいです。


◆次に肢2です。
停止条件のついた権利であっても権利であることには変わりがありません。したがって停止条件の成否が未定であっても、相続することが出来ます。

よって肢2は誤っています。


◆続いて肢3です。
条件の成否が未定の間は、その契約から生ずべき相手方の利益を害することは出来ません(民128条)。したがって妨害をしたBは、Aに対して損害賠償責任を負うことになります。

なお、条件が成就することによって不利益を受ける当事者が、故意に条件の成就を妨害した場合には、相手方は条件が成就したものとみなすことが出来ます(民130条、肢1参照)。この場合には、損害賠償と条件成就とは選択的に主張できるものとされています。

よって肢3は誤っています。


◆最後に肢4です。
民法の三大原則の一つに過失責任主義というものがあります。これは、何らかの責任を負うには、故意があれば当然ですが、少なくとも責任を負う者に過失がなければならないというものです。

したがって本肢のAのように責に帰すべき事由がない場合には、債務不履行責任を負うことはありません。

よって肢4は誤っています。


以上より正解は1です。



[平成23年過去問ページへ]


[トップページへ戻る]

本サイトに記載してあることは、私の考えと経験が元になっており、すべての人の合格を保証できるものではありません。
Copyright(C)2011 後藤行政書士事務所 All Rights Reserved.
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送