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解答
3
【 解説 】
◆まずは肢1です。
判決文は、買主が工事施工者に対して損害賠償請求をすることができることが前提となっています。判決文の中にも「建て替え費用相当額の損害賠償請求において」と記載されていることからも明らかです。
よって肢1は正しいです。
◆次に肢2です。
解除については、判決文は何も述べていません。なので、明らかに誤っているとは言えません。
よって肢2は正しいです。
◆続いて肢3です。
判決文を読むと、「建物が倒壊する具体的なおそれがあるなど」と記載されており、建物が倒壊することは前提とされていません。現実に倒壊していなくても、買主からの工事施工者に対する建て替え費用相当額の損害賠償請求において、買主からの居住利益を損害額から控除することは出来ません。
よって本肢は誤っています。
◆最後に肢4です。
判決文では、「買主がこれに居住していたという利益については」「損害額から控除することはできない」としています。買主が居住したまま損害賠償を請求したとしても、控除されることはありません。なお、かつて居住していたとしても、損害賠償請求時には居住していてはいけないということは判決文には記載がありません。なので、仮にそのように判断したとしても、判決文と明らかに誤っているとは言えません。
よって肢4は正しいです。
以上より正解は3です。
【 解き方 】
この判決文のポイントは、一言で言えば、「建物自体が社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるときには、損害賠償において居住利益は損益相殺できないし、損害額から控除することもできない」という点にあります。要は居住利益を差し引いてはダメだということです。そしてこの手の出題の場合には、このポイントに関わる肢が正解肢であることが多いです(常にそうだというわけではありません)。なので、各肢を検討していく際にも、判決文を読んでポイントを読み取り、そのポイントについての肢を丁寧に検討してみると、短時間で正解肢にたどり着ける場合もあります。でも、必ずしもそうだとは限らないので、すべての肢を検討する必要はありますけどね。
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