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【 解答 】
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【 解説 】
◆まずは肢1です。
その通りです。他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することが出来ます(210条1項)。だからといって、他の土地を自由に選んで通行できるわけではなく、通行の場所及び方法は、通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければなりません(211条1項)。他の土地を通行させてもらう以上は当然のことです。好き勝手に通行できるわけではありません。
よって、肢1は正しいです。
◆次に肢2です。
その通りです。分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができます。そしてこの場合においては、償金を支払うことを要しません(213条)。共有物分割によって公道に通じなくなった場合には、自ら公道に通じない土地を作り出していると言えます。その場合に、共有物分割に無関係な他の土地を通行しようというのは虫が良すぎます。また、他の分割者も自ら公道に通じない土地を作り出しているわけですから、通行を甘受すべき立場にあり、また償金を支払ってもらうべきではないと言えます。
よって、肢2は正しいです。
◆続いて肢3です。
その通りです。この場合は通常の賃貸借契約(601条)です。ですから、賃貸借契約に基づいて、Aは当該土地を通行することができます。甲土地が公道に通じているか否かは関係ありません。
よって、肢3は正しいです。
◆最後に肢4です。
地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することが出来ます(283条)。この場合の「継続」とは、承益地たるべき他人が所有する土地の上に通路を開設することを要し、その開設は要役地の所有者によってなされることを要します(最判昭30年12月26日)。本肢では、甲土地の隣接地の所有者が通路を開設しており、Aが開設したわけではありません。したがって、「継続」の要件を満たさず、Aは通行地役権を取得することは出来ません。
よって、肢4は誤っています。
以上より、正解は4です。
【 解き方 】
肢1と肢2は相隣関係、肢3は賃貸借、肢4は地役権の時効取得に関する出題です。幅広い知識が問われており、しかも正解肢である肢4は「継続」の具体的な中身を問われていることから、自信を持って肢4が正しいと言い切ることは難しいと思います。しかし、肢4がわからなくても、肢1〜肢3は比較的基礎的な事項であることから、消去法で肢4を選ぶことは出来るのではないかと思います。
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