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めざせ宅建合格!過去問から学ぼう!!平成16年第3号




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      「めざせ宅建合格!過去問から学ぼう!!」

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             平成16年5月7日  第3号

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 こんにちは、ごとうです。

 とうとうゴールデンウィークも終わってしまいましたね。昨日から仕事や学校という方、多いと思います。休みボケを引きずらないようにしてがんばりましょう。まだ休みという方、とても×3うらやましいです。カレンダー通りの私には夢のような話です。

 今回から物権に入ります。いよいよ本格的に民法の内容に入っていきますので、しっかり勉強しましょう。

 なお、平16−1−1とあるのは、平成16年第1問肢1という意味です。


★目次★
1、対抗関係
(1)総論
(2)「第三者」にあたるか
2、共有
(1)総論
(2)保存・管理・変更
(3)共有持分の放棄


●1、対抗関係●
●(1)総論
 Aが土地を所有しています。Bは、Aからその土地を売買により取得しました。このとき、AB間では、Aの「土地を売ります」、Bの「土地を買います」という口約束で契約が成立します。そして、所有権はBへ移転します。
 したがって、BはAに対しては、この段階で所有権を主張できます。

 もし、Aが死亡したとしても、Aの相続人に対しても同じように主張できます(これは、平10−1−4で出題されています)。相続人は、Aの立場(Bに所有権を主張できないという立場)も相続しています。
 よって、Bは相続人に対しても主張できるのです。


 ところが、Bはこのままでは「第三者」に対しては、所有権を主張できません。Bが「第三者」に対して所有権を主張するには、対抗要件が必要です。具体的には、不動産の場合は「登記」(177条)、動産の場合には「引渡」(178条)です。

 「登記」というのは、上記の例で言えば、AB間で契約が成立し、所有権が移った後に、必要な書類を法務局という役所に提出します。
 そうすると、法務局にある登記簿に今まで所有者は「A」と書いてあったものが、所有者は「B」と変わるのです。その登記簿の記載のことをいうのです。


 宅建試験では、動産の場合についてはあまり出題されません。よって、不動産に限って話を進めていきたいと思います。

 なお、ここでは所有権に限って話を進めていきますが、抵当権等、物権同士の関係においては、基本的に同様にあてはまります。


●(2)「第三者」にあたるか
 第三者に対してBは所有権を主張できないとしても、問題なのは、どのような者が「第三者」なのかです。

 Aが、その所有する土地をBに売却しました。Bが登記を具備する前に、AはCにもその土地を売却したとします(二重譲渡)。この場合、BはCに対しては、登記を備えないと土地の所有権を主張できません。

 したがって、BにとってCは「第三者」にあたるということになります。尚、このようなBとCの関係を対抗関係といいます。

 では、どのような者が「第三者」なのかというと、第三者とは、「登記欠缺(「けんけつ」と読みます)を主張する正当な 利益を有する者」をいいます(これは判例の言い回しです)。

 上記の例にあてはめて、かみくだいて言うと、Bが登記を具備していない(欠缺とは「ない」という意味です)ことを主張できる正当な利益を持っている者というぐらいの意味です。

 この「第三者」にあたらない者には登記がなくても、所有権を主張できます。そして、過去問を見ると、この第三者にあたらないものを問う問題が出題されています。
 こう言っても、何が何だかわからないと思います。具体例を見てみましょう。

 Aが所有する土地をBが取得しました。しかし、Bはいまだ登記を取得していません。このとき、Bが移転登記を受けていないことに乗じ、Bに高値で売りつけ不当な利益を得る目的でAをそそのかし、Aから当該土地を購入して移転登記を受けたC。
(平10−1−2より抜粋、一部変更)

 この場合、Bは登記を具備していなくても所有権をCに対して主張できます。このようなCを背信的悪意者と言います。背信的悪意者に対しては、登記なくして所有権を主張できます。この場合のCは、「悪いヤツ」のような気がしませんか?Cは「正当な利益を持っている」とは言い難いですよね。このようなCに所有権を認める必要はありません。Bを保護すべきです(Bに所有権の主張を認めるべき、ということです)。

 よって、Bは登記なくして所有権をCに主張できるのです。


 背信的悪意者にあたる例として、過去問においては、次のような者が出題されています。

■例1
 Aが所有する土地をBが取得しました。Bが未登記の間に、CがAから登記を取得しました。このとき、実はCはBを強迫して登記の申請を妨げ、Aから土地を購入し登記を得た場合。
(平7−2−2より抜粋、一部変更)

注:登記の申請とは、法務局に登記簿の名前を変えるために書類を提出することです。

■例2
 Aが所有する土地をBが取得しました。Bは登記手続きをCに委任していたところ、Cは登記をC名義にしてしまった場合。
(平7−2−3より抜粋、一部変更)

■例3
 Aが所有する土地をBを取得しました。Bが未登記の間に、CがBに著しく高く売りつける目的でAから移転登記を得た場合。
(平15−3−2より抜粋、一部変更)

 実は、これらの者は不動産登記法4条、5条に記載されています。条文を見ておいてくださいね。

 このような者は保護に値しません。かかる者に権利を認めていたのでは、あまりにBがかわいそうです。社会における取引というものが正常に機能しません。

 しかし、ここで気をつけないといけません。

 AがBから土地を取得しましたが、Bは登記を備えていません。このとき、AB間の事情を知っているCが、Aから土地を取得し、Bより先に登記を備えてしまいました。

 このCは「第三者」にあたります。つまり、Bは登記を備えていない以上、Cに対して所有権を主張できません。

 このように、単に知っているだけにすぎない者のことを単純悪意者と言う事もあります。登記を備えれば保護されます。背信的悪意者と違うところです。

 なぜでしょうか?

 日本は資本主義社会です。通常の取引の範囲内と言える部分は保護されます。そして、単純悪意の場合には、先に登記を備えるということは、競争社会の中では許され、保護すべき形態なのです。
 悪意で、かつ登記を備えていないことに乗じて相手に高く売りつける、というような場合が保護されないのです。

 単純悪意者については平3−4−1で出題されています。

 また、登記というのは、法務局に書類を提出した順になされるので、もともと「早い者勝ち」の性質を有するものなのです。

 さらに、全くの不法占拠者や無権原者も「第三者」にあたりません。

 A所有の土地をBが買い受けました(登記はまだ取得していません)。
 しかし、Cが当該土地の上に何らの権利もなく居座っていました。このときBは登記を備えていなくても、Cに対して土地の所有権を主張できます。Cが「第三者」にあたらないからです。Cが「正当な利益」を有していないのは明らかですね。
(平3−4−4、平10−1−3、平13−5−1と出題されています。これも今年あたり出題されるかも知れませんね。)


●2、共有●
●(1)総論
 通常、一つの物を所有するのは一人です。でも、二人でお金を出し合って、一つの物を買うこともありますね。この場合、買った物は二人のモノということになりますね。これが「共有」です。
 共有とは「共同所有」という意味です。つまり、「複数人が共同して所有する」ということです。

 複数人で所有するわけですから、お互いに協力するところは協力しないと円滑に物事が進みません。ABで所有しているときに、Aは売却したいのに、BはCに賃貸したい、と言ってお互いに譲らないのであれば、にっちもさっちもいきません。
 そこで、法は、このような状態になったときのため、共有者間の利害を調整するために規定を定めています。

 以下でそのような事態の中で、よく出題されている事項につき解説していきます。


●(2)保存・管理・変更
 保存行為とは、現状の状況を維持するための行為です。例えば、雨漏りを直す、ということです。なんとなくイメージできますね。
 過去問でよく出てくるのは、不法占拠者に対する明渡請求です。
(平6−3−3、平13−1−3と出題)

 そして、保存行為は各共有者が単独でできます(252条但書)。
 ただし、損害賠償は自己の持分のみです。
 例えば、ABが各2分の1ずつ共有している建物があったとします。そこに不法占拠者Cがいました。このとき、AもBもともに単独でCに対して明渡請求ができます。でも、被った損害についての賠償請求は自己の持分のみです。全部で100万円の損害が発生している場合には、AもBも、各50万円についてのみ請求できます(平6−3−3)。


 管理行為(252条本文)は、利用したり改良したりする行為を言います。具体的には、ABCが共有している建物を、第三者Dと賃貸借契約を結ぶ場合です。これは持分価格の過半数で決定します。上の例で、A5分の3、B5分の1、C5分の1ずつ各持分価格を有していたとします。このとき、Aは単独で賃貸借を締結できます。Aは5分の3を有しているのですから、過半数を超えているからです。

 なお、ここでいう、過半数は、頭数の過半数ではないので、注意が必要です。


 変更行為(251条)とは、変化させるようなことを言います。法律上の処分も変更です。過去に出題された問題から具体例を挙げてみますと、別荘の改築(平6−3−2)、売却(平13−1−1)があります。
 これは共有者全員の同意が必要です。


 ここで、注意をしなければならないことがあります。変更行為として、全員の同意が必要なのは、「所有権」の売却です。「持分」の売却ではありません。
 A2分の1、B2分の1ずつ共有している土地があります。このときAが所有権たる2分の2(つまり土地全部)を売却するには、Bの同意が必要です。
 しかし、A持分たる所有権の2分の1を売却する場合には、Bの同意は不要です。
 このことは、平9−2−1、平15−4−1と出題されています。
 間違えやすい箇所です。きちんと覚えておいて下さい。


●(3)共有持分の放棄(255条)
 AとBとで土地を共有していたとします。このとき、Aが土地の持分を放棄しました。そうすると、Aが有していた持分は、他の共有者たるBのものとなります。その結果、Bが当該土地の所有権を取得し、はれてBが単独で土地の所有者となります。これが共有持分の放棄です。
 一冊の本の両側をAとBが持っているとします。このときAが手を放しました。そうすると、Bだけが本を持っていることになりますね。このことと同じようなことです(ちょっと違うような気もしますが、あくまでイメージです)。


 なぜ、共有持分を放棄すると、他の共有者のものになるのかは、多くの学者の方が多くの学説を唱えられています。それを理解しようとするのは、宅建試験ということを考えると時間の無駄だと思います。
 試験対策ということでは、上のイメージを忘れずに、結論を覚えておいて下さい。
 平9−2−3、平15−4−3に出題されています。


 対抗関係については、さまざまな場面で出てくるのでしっかり勉強しておいて下さい。今まででも、詐欺取消後の第三者のところでなどで出てきましたね。これからも出てきますので、忘れないで下さい。


 それでは今日の講義は以上です。
 最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。


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