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めざせ宅建合格!過去問から学ぼう!!平成16年第4号




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      「めざせ宅建合格!過去問から学ぼう!!」

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             平成16年5月14日  第4号

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 こんにちは、ごとうです。

 最近めっきり暑くなりましたね。ついちょっと前まで、寒いぐらいの日があったような気がしたんですが・・・。服装も難しい日がありますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。五月病などにかかっていませんか。この時期難しいですよね。天気がいい日は、ボーっとしがちですしね。ボーっとするのは私だけかもしれませんが。

 そんな話はおいておきまして、それでは、さっそく今日もはじめましょう。

 今日は担保権です。

★目次★
 はじめに
 抵当権
1、総論
2、法定地上権
3、共同抵当
4、利息


●●はじめに●●
 担保物権は、民法上4種類あります。先取特権、留置権、質権、(根)抵当権です。
 確かに、どれも重要です。どの担保物権からも出題されています。
 しかし、すべてをこのメルマガで解説していくのは、無理です。
 そこで、とりわけ重要であり、頻出事項である、抵当権を取り上げていきたいと思います。なお、他の担保物権については、重要なものを他の所で別個に取り上げてみたいと思います。

 抵当権についても、すべての問題点を取り上げることは不可能です。
 そこで、繰り返し出題されている箇所を中心に解説していきます。


●●抵当権●●
●1、総論●
 「担保」という言葉は、皆さんも聞いたことがあると思います。何かを相手に請求するときに、相手がきちんとやってくれなかったときは、代わりのものをもらう、というような意味ですね。
 何かよけいにわかりにくくなってしまったかもしれません。すみません。例をあげながら説明しましょう。

 Aが土地と建物を所有していました。AはB銀行からお金を借りました。B銀行は、A所有の土地建物に抵当権を取得しました。
 このとき、「B銀行はAの土地建物を担保にとる」という言い方をします。住宅を購入する際の、住宅ローンなどでよく行われています。説明するまでもなかったですね。

 Aは、B銀行の抵当権が設定されたまま、その建物に住み続けることができます。これを「Aが占有する」といいます。逆に言えば、B銀行は占有しません。これを「抵当権は非占有担保である」と言います。占有とは、物を実際に自分の支配下におくことです。
 建物に住み続けていれば、占有していると言えるわけです。
 土地だけに抵当権を設定している場合も同様です。

 抵当権を有している者を抵当権者と言います。上の例で言えば、抵当権者はB銀行です。
 抵当権は、抵当権者が占有を有してなく、抵当権設定者(上の例で言うA)が占有を有し、当該物件を依然として利用し続けることができる点に特徴があります。つまり、土地だけに抵当権を設定しているような場合には、その土地を利用することができるわけです。利用の仕方にもいろいろあります。駐車場にして他人に貸す、その土地の上に建物を建てて自分で住む、などです。

 この場合、抵当権者は設定者の利用行為を中止することは原則としてできません。抵当権は、そもそも設定者がその物件を利用することを当然予定しているからです。そのために、抵当権設定者が占有することを認めているのです。

 このことは、最近出題されています(平14−6−1)。これはとても重要事項ですので、これからもいつ出題されてもおかしくありません。きちんと押されておいて下さい。


●2、法定地上権●
 Aが、ある土地を所有し、その土地の上に建物を所有して、そこに住んでいました。Aは、B銀行からお金を借りるにあたって、その土地に抵当権を設定しました。
 Aは順調にB銀行にお金を返済していましたが、ある時資金繰りに滞り、返済できなくなりました。そこで、B銀行としては、担保にとっていたAの土地を競売(競売とは、簡単に言えば売却することです)して、その代金をAからの返済金にあてました。  このとき、競落人はCでした(競落人とは、簡単に言えば競売によって不動産を取得した人です)。

 そうすると、土地の所有者はC、建物の所有者はAとなります。この場合、Aの建物は、他人のCの土地の上にのっかっているわけです。
 しかも、CとAとの間では、土地を利用することの約束などは何もなされていません。そうなると、Aの建物は、Cの土地を侵害していることになってしまいますので、Aは建物を移動させなくてはなりません。
 建物を移動させるということは、これは壊すということです。建物をそっくりそのまま移動させるということは事実上不可能だからです。

 しかし、すでに建っている建物を壊すということは、社会経済的に見て非常に損失が大きいです。はっきり言ってもったいないです。

 そこで、考え出されたのが、法定地上権という制度なのです。 地上権というのは、簡単に言えば他人の土地を利用する権利です。

 通常は、土地の所有者と、土地を利用したいと思う人との間での契約によって成立します。

 しかし、先ほどの例を見て下さい。

 新しい土地の所有者であるCは、Aを追い出したいと思えば、当然Aと地上権を設定する契約なんて締結するはずがありません。

 それでは、建物を壊さなくてはなりませんので、「特に法が定めた地上権」が成立するのです。

 とは言うものの、どのような場合でも法定地上権が成立するわけではありません。常に法定地上権が成立するとしたのでは、競落人に酷ですし、抵当権者を害します。

 そこで、法定地上権が成立するための要件を、法は次のように定めています。
1、抵当権設定当時に建物が存在すること
2、抵当権設定当時に土地と建物が同一人に属すること
3、土地と建物の一方または双方に抵当権が設定されること
4、競売の結果、土地と建物が別々の者に属するに至ったこと

 上記1から4の要件の中にも、それぞれ細かい問題点がいろいろありますが、まずは4つの要件を覚えることが先決です。

 そして過去問では、要件とのつながりでは、次の箇所が出題されています。

 1、について
 土地に抵当権を設定後、土地所有者が建物を新築し、土地について競売がされた場合(昭62−5−2)

 この場合、法定地上権は成立しません。通常、このように設定時に更地(土地の上に建物がないこと)ですと、抵当権者は土地を更地として評価します。

 しかし、もし法定地上権が成立しますと、競落人は土地の上に建物が建っている土地を取得することになるので、自由に土地を使うことができません。このような土地を競落する人は、なかなか現れません。
 そうすると競売の値段が下がりますから、土地を更地と評価した抵当権者を害します。
 よって、このような場合には、法定地上権は成立しないのです。

 抵当権設定時に、建物が建っていれば、抵当権者としては、「法定地上権が成立する可能性があるな」と予想できます。
 したがって、設定時に建物の存在が要求されるのです。
 逆に言えば、設定時に建物が建っていなければ、抵当権者としては、「法定地上権が成立しないな」と考えるわけです。
(平14−6−2)

 4、について
 この要件についても出題されています。これは、競売の結果、同一人が所有するのであれば、法定地上権は無意味となることを示しています。
 つまり、同一人が所有するのであれば、自己所有の土地ですから、土地の利用権たる地上権など必要ありませんよね(平10−5−1)。


●3、共同抵当●
 Aは土地と建物を所有していました。B銀行からお金を借りるにあたって、土地と建物に抵当権を設定しました。これが共同抵当です。つまり、抵当となる物件が複数ある場合です。

 この場合、競売がなされると、B銀行は土地と建物の代金両方からお金を返してもらえます。(競売の代金からお金を返してもらうことを「配当を受ける」と言います)。

 ここで、気をつけないといけないことがあります。上記の例は、土地と建物の両方に抵当権を設定していた場合です。次の場合とは区別しなければなりません。

 それは、Aがその所有する土地にB銀行のために抵当権を設定 しました。その後、Aはその土地の上に建物を建てました。この とき、B銀行が競売しようとするときは、B銀行は土地とともに 抵当権のついていない建物も同時に競売できます。

 しかし、B銀行が配当を受けることのできるのは、土地の代金 からのみです。建物の代金から配当を受けることはできません。 (389条)。

 この場合に、抵当権のついていない建物も同時に競売できるのは、建物を壊すとなると社会経済的に損失が著しいからです。なるべく建物を壊したくないということです。
(平4−6−2、平14−6−4と出題されています)

 法定地上権の場合もそうでしたが、いったん建物が建てられた以上は、壊すことはもったいないという考え方が根底にはあるのです。そこで、抵当権者やら競売人の権利を害さないならば、残そうという方向になるわけです。

■注意点■
 今回民法の改正が行われました。改正前は、土地と建物を一括 して競売できるのは、Aが土地に抵当権を設定し、その後当該土地に建物を建てた場合でした。しかし今回の改正で、抵当権設定後当該土地の上に建物を建てた者がA以外の者でも、一括して競売できることになりました。
 改正直後で出題されるかどうかわかりませんが、押さえておいて下さい。
■   ■


●4、利息●
 お金を借りるということは、通常そこには利息が発生します。銀行からお金を借りると、利息を払いますよね。

 そして、ここで次の事例を検討してみましょう。

■事例■
 Aは、B銀行から1000万円借りました。このとき、Aはその所有する土地(価格1500万円とします)に、B銀行のために抵当権を設定しました。
 その後、AはC銀行から500万円を借り、同じ土地に抵当権を設定しました。
 しかし、もともと資金繰りが苦しかったAは、B銀行への返済が滞り、利息がふくらんでしまいました。そして、とうとう年100万円の利息を5年間ためこんでしまいました。
(利率やら返済方法など細かい点は気にしないで下さい)
■  ■

 このような事例を前提とします。このとき、B銀行としては全部で1500万円をAに支払請求できることになります。

 では、仮に抵当物件たる不動産を競売した場合、1500万円 全額を配当から受け取れるでしょうか。

 これはダメです。1500万円全額の配当をB銀行のために認めると、C銀行を害するからです。C銀行としても、Aに500万円を貸すときに、「土地の価格にまだ余裕があるな」と思って貸すはずです。
 もちろん、C銀行としても、B銀行の利息があることは計算に入れているはずです。しかし、その利息をすべてB銀行のために抵当物件でカバーすることを認めていたのでは、後順位担保権者(上記の事例のC銀行)がかわいそうです。

 そこで、抵当権がカバーする利息は最後の2年分ということにして、後順位担保権者の利益との調整を図ったのです(374条1項)。
 このことは、平2−10−3、平13−7−3と出題されています。

 しかし、ここで気をつけておいて下さい。先ほどから述べていますように、最後の2年分としたのは、後順位抵当権者の利益を守るためです。

 ということは、後順位抵当権者がいない場合には、最後の2年分に限る必要はないことになります。
 これは判例の考え方です。過去問においても、平7−6−2で出題されています。

 但し、忘れてならないことがあります。後順位抵当権者がいる以上はB銀行は抵当権の競売による配当からは、全額回収できません。でも、配当から回収できなかった金額については、依然として、Aに対して請求できます。
 つまり、B銀行としては、1200万円を配当によって回収し、300万円を無担保としてAに請求していくということになります。B銀行がAに対して有する債権が1200万円になるということではありません。混同しないようにして下さい。


 今日の講義は以上で終わりです。
 最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。


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