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めざせ宅建合格!過去問から学ぼう!!平成16年第9号




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     「めざせ宅建合格!過去問から学ぼう!!」

         本メルマガの目的はただ一つ、宅建試験の合格です

               平成16年6月7日  第9号

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 こんにちは、ごとうです。

 今日は、解除を取り上げます。そろそろ、民法の中でもいろいろと混同してくるころだと思います。あまりいっぺんに覚えようとせずに、一つづつ確実に覚えていって下さい。大変だと思いますが、しっかり勉強してください。

 なお、平16−1−1とあるのは、本試験の平成16年第1問肢1という意味です。


★目次★
 解除
1、総論
2、履行遅滞解除
3、解除前の第三者
4、解除後の第三者


●●解除●●
●1、総論●
 Aがその所有する土地をBに売却しました。ところが、支払期日が過ぎてもBはなかなか代金をAに対して支払わないので、Aは売買契約を解除しました。

 これが解除の代表的な事例です。

 解除をすると、さかのぼって何もなかったことになります。取消もそうですが、このような事態をやたらと認めるわけにはいきません。つまり、解除をする場合には、一定のそれなりの事由が必要です。何も責められる事由がないにもかかわらず、解除を認めていたのでは、解除される側はたまったものではありません。解除される側に、解除されても仕方のない事由があるときに、相手方は解除ができるのです。

 そして、解除事由の中で、過去問で頻繁に出題されているのが、履行遅滞解除です。次で詳しく見ていきましょう。


●2、履行遅滞解除●
 履行遅滞解除というのは、相手方がいつまでたっても債務を履行しない場合に、契約を解除できるというものです。自分は履行した(もしくは履行の用意が出来ているとき)にもかかわらず、相手方が履行しなくても、いつまでも契約にしばりつけておくのはかわいそうです。

 そこで、法はこのような場合に、履行遅滞解除を認めたのです(541条)。

 但し、相手方が履行しなければ、常に解除できるか、というとそういうわけではありません。履行遅滞解除ができるためには、次の要件を満たす必要があります。
 1、履行期に履行が可能であること
 2、履行期を徒過していること
 3、帰責性
 4、違法性
 5、相当期間の経過
 6、催告
 7、解除の意思表示
 この要件については、できれば覚えて下さい。そして、その一つ一つにいろいろと問題点があるのですが、本メルマガでは、とりわけよく出題されている下記の要件を取り上げてみたいと思います。

 4、違法性について
 ここで言う違法性とは、同時履行の抗弁権がないということです。通常売買契約のような双務契約(お互いに債務を負担している契約のことです)においては、お互いに同時履行の抗弁権を有しています。たとえ履行期を過ぎても、同時履行の抗弁権を有しているときは、遅滞の責任を負いません。つまり。履行しないことは違法ではないのです。この場合、解除されることはないのです。

 そこで、解除しようと思う人は、相手方の同時履行の抗弁権を奪う必要があります。相手方の同時履行の抗弁権を奪えば、相手方は履行しないことが違法になるのです。同時履行の抗弁権を奪うには、自らの債務について、弁済の提供をする必要があります。いつでも自分の債務について相手方に満足しうる状態にしてそれを示しておかなければなりません。

 自分の債務について何もしないで、相手方の債務について責任を問うことは許されないのです。
 平4−8−2、平8−9−3、平10−8−1とわりと出題されていますので、押さえておいて下さい。今年あたりまた出題されそうです。


●3、解除前の第三者●
 前に、詐欺取消前の第三者の話をしました(メルマガサンプル参照)。

メルマガサンプルはこちらから
http://www.geocities.jp/takutaku_gogo/magasan.html


 今回取り上げる解除前の第三者の話は、そこでの話と同じような話です。ですから、忘れている方は思い出しながら、勉強して下さい。
 しかし、詐欺取消の場合とは、結論は異なってきますので、注意が必要です。

 Aが、その所有する土地をBに売却しました。Aは、その所有する土地をBに引き渡し、登記も移転しました。さらに、Bはその土地をCに売却し、登記も移転しました。現在、所有権の登記はCにあります。
 ところが、Bは支払期日を過ぎても、なかなかAに対して代金を支払ってくれません。
 そこで、しびれを切らしたAは、Bに対して履行遅滞に基づく解除をしました。
 このとき、Cは保護されるでしょうか。つまり、解除をすると最初にさかのぼって何もなかったことになるわけですから、Cは土地を返却しないといけないのでしょうか。

 詐欺取消の場合にも、似たような場面がありましたね。詐欺取消の場合には、Cが善意のときはCは保護され、Aは取り戻しが出来ませんでしたね。思い出してくださいね。

 話を戻しましょう。解除です。ここの場面も詐欺のときと同じように、いつAが解除したのか、今回はBC間の売買の後に、Aが解除したということが重要です。

 そして、解除の場合もCが保護されることがあります。でも、無条件に保護されるわけではありません。545条1項但書に規定があります。
 この問題点で過去問に頻繁に出題されている点は、次の2点です。
 1、Cは保護されるためには、善意でなければならないか
 2、Cは保護されるためには、登記を具備している必要があるか
これらの2点がよく出題されます。

 結論は、Cは善意・悪意は関係ないが(つまり悪意でも保護される)、保護されるためには登記が必要です。

 それはなぜでしょうか。

 Bが、自らの履行を遅滞していることを、Cが知っていた(つまり悪意)としても、Bはいずれ履行するものと、Cとしては考えるのが普通です。Bがきちんと自らの債務を履行しさえすれば、解除はなされないのです。つまり、解除がなされるかどうかはわからない状況なわけです。このようななか、Cに善意を要求しても酷です。それに、条文上も要求されていません。詐欺の場合には、96条3項で「善意」と規定されていましたね。この規定と545条1項但書を比較してみてください。

 ところが、登記は必要です。ここで、Cに登記まで不要とすると、今度はAに酷です。

 つまり、Aは何も悪くないのです。悪いのは、きちんと自分の債務を履行しなかったBです。ここでもし登記もないCを保護するとなると、それはAを保護しないことを意味います。それではAがかわいそうです。Aは自らの債務をきちんと履行しながら(少なくとも、弁済の提供は必要ですね)、相手方Bが債務を履行しないために、仕方なく解除したのです。登記のないCを保護するとしていたのでは、何のためにAは解除したのかわからなくなってしまいます。

 そこで、何も悪くないAを犠牲にしてまで、Cを保護するわけですから、そのCは登記ぐらいは具備してくれ、ということです。

 よって、第三者Cが保護されるためには、善意悪意は問わないが、登記の具備が必要となります。

 これはとてもよく出題されています。
 平元ー3−3、平3−4−2、平8−5−3、平13−5−2、平14−8−4です。いつ出題されてもおかしくないですね。


●4、解除後の第三者●
 Aは、その所有する土地をBに売却しました。AはBに土地を引渡し、登記も移転しました。しかし、Bは一向に代金を支払わないので、Aは売買契約を解除しました。AがBから土地を返してもらう前に、Bは土地をCに売却してしまいました。
 この場合、AはCから土地を返してもらえるでしょうか。

 今度はAが解除した後に、第三者Cが登場した場合です。この場合はどうでしょうか。

 結論から言いますと、AとCは対抗関係になります。つまり、AとCとで、早く登記を備えた者の勝ちです。
 平8−5−4、平13−5−3と出題されています。


■■まとめ■■
 今まで、取消前とか解除前、取消後とか解除後など、いくつか出てきました。

 取消前やら解除前など「何々する前」に第三者が登場した場合には、それぞれ結論が異なっていましたね。ある場合には「善意」が要求されていたり、ある場合には、要求されていなかったり、でしたね。

 しかし、
「詐欺取消後」、「強迫取消後」、「時効完成後」、「解除後」 に第三者が登場した場合には、すべて対抗関係になります。覚えやすいですね。

 「何々前」「何々後」の問題は、頻出問題です。整理しておいて下さいね。
 そして、確実に覚えてください。
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 最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました。




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