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☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 「めざせ宅建合格!過去問から学ぼう!!」 本メルマガの目的はただ一つ、宅建試験の合格です 平成16年6月30日 第14号 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ こんにちは、ごとうです。 私が住んでいるところは、毎日ホントに暑いです。前回も言いましたが・・・。暑いと勉強に集中できないと思います。でも、試験が秋であることを考えると、夏にやらないわけにはいかないですね。つらいところです。効率よく集中してテキパキとやりましょう。 今回も引き続き賃貸借契約です。 なお、本文中、平16−1−1とあるのは、平成16年第一問肢1の省略です。 ★目次★ 賃貸借(その2) 1、賃貸借契約の終了 2、造作買取請求権 3、賃貸人たる地位の移転 ●●賃貸借契約(その2)●● ●1、賃貸借契約の終了● ■事例1■ A所有の建物を、Bが賃借していました(賃貸人A、賃借人B)。 ■ ■ 上記のような事例で、AB間の賃貸借が期間の定めがある賃貸借だったとします。この場合、期間が満了すれば通常は契約が終了します。 しかし、民法上の賃貸借の場合、期間満了後もBが住み続け、Aがそのことを知りながら、異議を述べなかったときは、前の賃貸借契約と同一条件でさらに契約を締結したものと推定されます(619条1項本文)。 期間の定めがない賃貸借だった場合には、当事者はいつでも解約の申し入れをでき、解約の申入れをしてから、3ヶ月後に契約が終了します。 (平2−9で出題されています) 借地借家法の適用がある建物賃貸借契約の場合は、より借家人が保護される形で規定されています。ちょっとややこしいですが、辛抱して下さい。 まず、期間の定めがある場合です。 当事者が期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に更新しない旨の通知または条件を変更しなければ更新しない旨の通知をしなかったときは、いままでの契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。 しかも、賃貸人からする通知には、正当事由が必要とされています。 さらに、たとえ正当事由があっても、建物の賃貸借契約の期間満了後、賃借人が使用を継続する場合に、賃貸人が遅滞なく異議を述べない場合には、いままでの契約と同一の条件で賃貸借契約を更新したものとみなされます。 次に、借地借家法の適用のある建物賃貸借の場合で、期間の定めがない場合です。 この場合、当事者はいつでも解約の申し入れができます。しかし、賃貸人が解約の申し入れをするには、正当事由が必要です。そして、正当事由のある解約申し入れをしたときは、申し入れの日から6ヶ月後に契約は終了します。 ただし、終了後、賃借人が使用を継続する場合に、賃貸人が遅滞なく異議を述べない場合には、いままでの契約と同一の条件で更新したものとみなされます。これは期間の定めのある場合と同じですね。 ここでのポイントは、6ヶ月ということと正当事由の存在です。ほかの事は忘れても、この二つだけはしっかりと覚えておいて下さい。 借地借家法というのは、民法の特別法です。この法律によって借家人(事例1のB)及び借地人は保護されています。通常であれば民法が適用されます。 しかし、民法が適用されると借家人はあまり保護されません。借家人はどうしても弱い立場にあります。大家さん(事例1のA)の方が強いです。でも借家人は家賃の値上がりなどによって、そこを出て行かなければならないとなると、住む所がなくなってしまいます。 そこで、土地建物の賃貸借で、一定の要件をみたす場合に、借地借家法が適用されることによって、賃借人を保護しているのです。 では、どのような場合に、借地借家法が適用されるのでしょうか。 それは、建物賃貸借の場合は、建物の賃貸借が一時使用のためにした場合でないことが必要です(建物賃貸借の場合・借地借家法40条)。つまり、一時使用の場合には民法が適用されるのです。 このことは覚えて下さい。とても重要です。過去問でも「一時使用によるものではない」などという形で出題されています。 (平5−12−1) ■事例2■ Aが所有する建物を、Bが賃借していました。BからさらにCが賃借していました(賃貸人A、賃借人(転貸人)B、転借人C)。 ■ ■ BC間の契約というものは、AB間の契約があるからこそ成立するものです。AB間の契約があるので、Bは転貸人になれるわけです。 ということは、AB間の契約が終了すると、BC間の契約はその存在根拠を失うことになります。つまり、AB間の契約が終了すると、Cは建物から出て行かなくてはならないのが原則です。 しかし、このことをそのまま無条件にあてはめるとCがかわいそうです。Cは住む所がなくなってしまいます。 そこで、Cを保護する規定が定められています。 AB間の賃貸借が期間が満了したため終了する場合には、AはCの保護のため、転借人Cに通知する必要があるのです(借地借家法34条1項)。 (平6−12−4) この通知によって、Cは自分が出て行かなければならないことを知ることができるわけです。そして、先ほどと同様、6ヶ月経過することによって、契約は終了することになります。 (平10−12−4) これがAB間の賃貸借が、ABの合意解除によって終了した場合には事情が変わってきます。 Aは通常BC間の転貸に承諾を与えています。 それにもかかわらず、AB間で合意解除をして、Cの立場を不利にすることは許されません。これはCに酷です。 そこで、この場合には、AはBの地位を引き継ぐものとされています。つまり、Cを保護するために、Cの地位には変更を与えないのです。 このことは、平4−11−4、平6−12−2、平10−6−1と何回も出題されています。ぜひ覚えて下さい。 しかし、さらにAB間がBの債務不履行を原因として解除された場合には、また事情が異なってきます。 Aは建物を貸す代わりに、本来賃料をもらえるはずです。Aのこの賃料債権は保護されてしかるべきです。賃料をもらえないのであれば、AとしてはBを追い出して、他の者に貸して他の者から賃料をもらいたいと思うはずです。 そこで、AB間が債務不履行解除の場合には、転借人CはAに対して転借権を主張できません。 (平10−6−4) ●2、造作買取請求権● 賃借人が居住環境を整えようと、建物にクーラーや畳をとり入れることがあります。このような物を「造作」といいます。この造作を賃貸人の同意を得て建物にとり入れた場合には、賃貸借契約終了時に、賃借人から賃貸人に対して買取請求権を行使することができます(造作買取請求権・借地借家法33条1項)。 (平3−13−4、平10−12−3) 但し、賃貸人としては、あらかじめ特約で造作買取請求権を排除することもできます。 このことは、平5−12−4、平7−13−1、平11−14−1と出題されています。ぜひ覚えましょう。 なお、造作の引渡しと代金の支払いは同時履行の関係にあります。覚えておいて下さいね。 ●3、賃貸人たる地位の移転● ■事例3■ Aが建物を所有し、Bがその建物を賃借していました。Aが賃貸人で、Bが賃借人です。このとき、甲がAから建物を買い受けました。 ■ ■ 事例3の場合、Aは建物の所有者であると同時に賃貸人でした。 しかし、今回甲に建物を売却したわけですから、所有者ではなくなります。所有者は甲です。では、賃貸人としての地位はどうなるのでしょうか。 ここで、甲が賃貸人としての立場を、Aから引き継がないということになると、Bは建物から出て行かなくてはならなくなります。Bの賃貸借契約は、Aとの間で締結したものであり、甲との間で締結したものではないからです。 しかし、それではBがかわいそうです。Bが住む所がなくなってしまいます。 そこで、Bを保護するために、Bが建物の引渡し(借地借家法31条1項)があれば、Bは甲に賃借権を対抗できます。この場合、賃貸人たる地位は甲に移転します。甲は賃貸人になるので、Bを追い出すことはできないということです。Bが引き渡しを受けていなくても、もちろん特約があれば移転します。 (平12−12−1) そして、甲のほうから自分が賃貸人であると主張し賃料を請求するには、甲は所有権の登記が必要になります。建物の所有権移転は、Bとの関係のない所でなされるため、Bは誰が大家さんかがわかりません。そこで、登記がある人に支払えばよいことにして、Bを保護したのです。 (平7−7−3) 最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。賃貸借は覚えることも多く、混同しやすいところです。すべてを一度に覚えようとせずに、まずどれかひとつでも確実に覚え、それを積み重ねていってください。 次回は賃貸借の最後の部分を取り上げます。 無断転載・転送を禁じます。 |
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