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共有

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■1、共有総論
民法は、本来的には一つの物を一人の人が所有することを、予定しています。これを単独で(一人で)所有することから、単独所有(単有)と言います。

しかし、一つの物を複数で(例えば三人で)所有することもあります。日常生活の中でも、友人と二人で、又は夫婦二人で半分ずつお金を出し合って、一つの物を買うことがあると思います。また例えば父親名義だった土地につき相続が発生したような場合、複数の子が土地の所有者となることもよくある話です。

このような場合、複数の人が共同で所有することになります。これを共同で所有することから、共同所有、もしくは共有と言います。


ところで、ここで次の事例を取り上げてみましょう。


■事例■
ABCの三人が一棟の建物を3分の1ずつ共有していました。
■  ■


三人が3分の1ずつ持っている、それぞれの部分のことを「持分」と言います。例えば、「Aは3分の1の持分を有している」という言い方をします。

もし、三人の間で持分が決まっていない場合には、持分は等しいものと推定されます。

ここで、Aが持分を放棄したらどうなるのでしょうか。例えば、Aが「3分の1の持分はもういらない」と言ったような場合です。この場合は、Aの持分は他の二人BCに移転することになります。


なお、共有の問題を考えるときには、「所有権」についての場面なのか(ABCを合算したもの)、「持分」についての場面なのか(ABCのそれぞれが有している3分の1)を厳格に区別して下さい。そうでないと、話がわからなくなると思います。




■2、保存・管理・変更

■(1)はじめに
共有は、複数の人で所有するわけですから、お互いに協力するところは協力しないと、円滑に物事が進みません。事例の場合で言えば、Aは売却したいのに、Bは賃貸したい、Cは自分が使いたいと言って、お互いに譲らないということになると、話が先に進みません。

そこで、法は、このような状態になったときに、共有者間の利害を調整するために、規定を定めています。

以下で、そのような事態の中で、よく出題されている事項につき、お話していきます。


■(2)保存
保存行為とは、現状の状況を維持するための行為です。例えば、雨漏りを直す、ということです。イメージできますよね。

雨漏りの修理以外で有名な例としては、不法占拠者に対する明渡請求です。この不法占拠者に対する明渡請求は、保存行為とされているのです。

そして、この保存行為は、各共有者が単独で出来ます。

でも、ここで気をつけないといけないことがあります。損害賠償は、自己の持分のみです。

例えば先ほどの事例のように、ABCが各3分の1ずつ共有している建物があったとします。そこに、不法占拠者甲がいたとします。

このとき、AもBもCも単独で甲に対して明渡請求ができます。明渡請求は保存行為であり、保存行為は単独で出来るからです。

でも、被った損害についての賠償請求は、自己の持分のみです。例えば全部で300万円の損害が発生している場合には、AもBもCも、各自が100万円についてのみ請求できることになります。


■(3)管理
管理行為(252条本文)とは、利用したり改良したりする行為を言います。

具体的な例としては、事例のABCが共有している建物を、第三者と賃貸借契約を結ぶ場合などが管理行為にあたります。また、賃貸借契約の解除も管理行為とされています。この管理行為は、持分価格の過半数で、決定します。

先ほどの事例を少し変えて、A5分の3、B5分の1、C5分の1ずつ各持分価格を有していたとします。

このとき、Aは単独で賃貸借を締結できます。Aは5分の3を有しているのですから、過半数を超えているからです。

なお、ここでいう、過半数は、頭数の過半数ではないので、注意が必要です。


それから、「半数以上」と「過半数」は違います。「半数以上」は半分も含みます。それに対して「過半数」は半分は含まず、半 分プラス1です。
例えば、全部で100人いるときに、「半数以上」は50人以上です。他方、「過半数」は51人以上です。
間違えやすいので注意して下さい。


■(4)変更
変更行為(251条)とは、変化させるようなことを言います。法律上の処分も変更です。

事例としては、別荘の改築、売却などが変更行為です。これをなすには、共有者全員の同意が必要です。

ここで、注意をしなければならないことがあります。変更行為として、全員の同意が必要な売却は、「所有権」の売却です。「持分」の売却ではありません。

A2分の1、B2分の1ずつ共有している土地があります。このときAが所有権たる2分の2(つまり土地全部)を売却するには、Bの同意が必要です。

しかし、A持分たる所有権の2分の1を売却する場合には、Bの同意は不要です。

「所有権」の場面なのか「持分」の場面なのか、きちんと区別するということです。


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