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債権譲渡の通知について

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 債権譲渡、とりわけ、「代位による通知」について解説していきたいと思います。

 債権譲渡を債務者に対して主張するには、譲渡人からの「通知」又は債務者の「承諾」が必要です。そしてこの「通知」は「代位」によることはできないが、「代理」によることはできるとされています。

 これはなぜでしょうか。本来ダメなはずの譲受人から、「代位」も「代理」もいずれもなされるのではないか。また、言葉もほとんど同じなのに、片方はダメで片方は有効というのはどういうわけか。疑問に思っている方も多いと思います。そこで、今回はこの点について私なりに解説していきたいと思います。


●1、債権者代位について●
 まず、前提としてここで言う「代位」とは何か、から解説していきたいと思います。

 ここで言う「代位」とは、「債権者代位」ということです。次の事例を見てください。

■事例1■
 AがBに対して金銭債権(甲債権とします)を有していました。支払期日が過ぎたにもかかわらず、一向にBはAに対して支払う気配がありません。しかもBはお金がぜんぜんありません。Aはどうしたものかと考えていると、BもCに対して債権(乙債権とします)を有していることがわかりました。
 しかし、Bは、
「乙債権をCから取り立てても、どうせAにそのお金をもってい かれるんだ」
と考え、Cに対して支払いの催促さえする気配がありません。
■   ■

 以上の事例の場合、Aとしてはどうすればよいのでしょうか。

 この場合、AとしてはBの乙債権を代わりに行使できればよいのです。そして、CがBに支払ってさえくれれば、今度はAがBから支払ってもらえばよいわけです。このAがBの乙債権を代わりに行使することを債権者代位というのです。


 この債権者代位は、本来は上記の事例のように金銭債権に用いられています。この代位をなすには要件があり、それぞれにまた細かい問題点があるのですが、今はとりあえずその点はおいておきます。

 本来金銭債権に用いられる債権者代位ですが、現在においては金銭債権以外にも用いられる社会的必要性があり、実際利用されています。このことを債権者代位権の転用といいます。

 債権譲渡の通知を譲受人が譲渡人に代わってしようとしているので、債権者代位権の転用の問題となるのです。


●2、債権譲渡における通知の代位について●

■事例2■
 Aが有する債権をBに対して債権譲渡をしました。なお、債務者はCとします。
■   ■

 債権譲渡をした場合、債務者Cに対して譲渡人Aから債務者Cに通知をなすか、債務者Cから承諾がなされないと、譲受人Bとしては債権譲渡を債務者Cに主張できません。

 しかし、Aはいつまでたっても通知をしてくれません。Cも承諾をしてくれません。この場合に、Aがするべき通知をBが代位で出来れば、Bとしては助かるわけです。

 これが出来るか、というのが通知を代位で出来るかという問題です。

 結論は、これは出来ません。

 理由は大きくわけて二つあります。事例1を見てください。債権者代位権において、Bが行使するAの債権は権利です。

 しかし、代位による通知の場合に、譲渡人が本来なすべき通知は権利ではなく義務です。義務は代位行使できないのです。まず、これが否定の根拠です。

 さらに、譲受人は、真実債権譲渡があったときにのみ、通知をするとは限らないということが挙げられると思います。


●3、債権譲渡における通知の代理について●
 では、譲渡人の代理人として譲受人が通知をなすことはどうでしょうか。

 これは認められています。

 債権譲渡における通知は観念の通知であると言われております。これは何かということについては、細かい話になりますので、ここでは省きます。しかし、これは意思表示とは異なるものの、意思表示の規定を類推適用するとされております。

 よって、観念の通知たる債権譲渡の通知を代理によってなすことも認められるというわけです。


●4、まとめ●
 代位の場合には、これを認めると譲渡人は何らのかかわりがなく、なされてしまうことになります。
 他方、代理の場合には、たとえ譲受人に対してとはいえ、少なくとも譲渡人がいったんは自らの意思で通知の代理権を与えているわけです。ここに両者の違いが出てくるのではないかと思います。

 この、通知について譲渡人が何らかのかかわりがあるか否か、これが大きいのだと思います。



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