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賃貸借契約の地位の移転と敷金

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 今回は、賃貸借契約において、賃貸人または賃借人の地位に移転があった場合に、敷金はどうなるのか、について取り上げてみたいと思います。

■■事例■■
 Aが自己所有の建物をBに賃貸していました(賃貸人がA、賃借人がBです)。建物は引渡し済みで、Bは敷金をAに支払っているとします。
■■  ■■


●1、賃貸人の地位が移転したとき●
 AB間の賃貸借契約が継続中に、Aが建物を甲に売却しました。所有権の登記も移転し、賃貸人たる地位も移転しました。この場合、甲は賃貸人たる地位を取得します。つまり、AB間の賃貸借契約は、甲B間に引き継がれることになります。

 よって、賃貸借契約がそのまま引き継がれる以上、敷金も甲に引き継がれます。

 ただし、このときすでに未払い賃料があるようなときには、Aはその分を敷金から差し引いて、残金のみが甲に引き継がれます。Aは賃貸借契約から脱する以上、未払い賃料などはここで清算されないと、回収する機会を失うからです。
 ですから、賃貸借契約の終了時には、残額があればBは甲から敷金を返してもらうことになります。

 しかし、このとき気をつけなくてはならないことがあります。もし、甲A間の売却の前に、AB間の賃貸借が終了しているようなときには、敷金は引き継がれません。賃貸借契約が終了しているからです。Bは、敷金に残額があれば、Aから返してもらうことになります。


●2、賃借人の地位の移転と敷金●
 事例において、Bが乙にAの承諾を得て賃借権を譲渡することがあります。そうすると、賃借人になるのは乙です。Bは賃貸借契約から離脱します。これが賃借人の地位の移転です。

 この場合、もともとBがAに差し入れていた敷金はどうなるのでしょうか。

 もし、このまま乙の賃借権のために、Bの敷金が利用されるとなるとBに酷です。Bは自分のお金で他人乙のために敷金を差し入れていることになります。Bはそこまでする義務はありません。

 そこで、Bが賃貸借契約から離脱するときに、Aとの間で敷金の清算をすることになります。このときにBに未払い賃料があれば、敷金から充当されます。そして、残金があればBに返却されます。

 Aとしても、B乙間の賃借権の譲渡につき承諾を与えるときに、乙に新たに敷金を請求できるので、不利益を被ることはありません。


●3、まとめ●
 このように、それぞれの場面で結論が異なってきます。間違いのないように整理して覚えて下さい。

 賃貸借契約継続中に賃貸人たる地位が移転
  →敷金も引き継ぐ

 賃貸借契約終了後に所有権が移転
  →敷金は引き継がない

 賃借人たる地位の移転
  →敷金は引き継がない



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