問題演習・相殺
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このサイトは、後藤行政書士事務所が運営しています。 ★問題演習・相殺★ ■問題 下記の各問において、Aの主張がそれぞれ認められるでしょうか。 ■問1 Aが運転する車とBが運転する車とが、正面衝突の交通事故を起こした。この場合に、Aの有する損害賠償請求権を自働債権とし、Bの有する損害賠償請求権を受働債権としてAがなす相殺の主張。 (但し、債権額については考慮しなくてよい) ■問2 Aが運転する車とBが運転する車とが、正面衝突の交通事故を起こした。この場合に、Aの有する損害賠償請求権とBの有する損害賠償請求権とで相殺契約をした。 その後、Bが、不法行為による損害賠償請求権を受働債権とする相殺契約はできないとして、相殺契約の無効並びにAに損賠賠償の支払いを求めてきた。この場合に、相殺契約によりBの債権は消滅している旨のAの主張。 (但し、債権額については考慮しなくてよい) ■問3 AはBに対して貸金債権を有しており債務履行地は東京、BはAに対して代金債権を有しており債務履行地は大阪です。この場合、異なる債務履行地での、Aの相殺を主張。 解答・解説は↓↓↓ ■お薦め通信講座 全国46校舎・540講座 資格・教育「ヒューマンアカデミー」 ■問1 認められない 不法行為に基づく損害賠償請求権を受働債権として相殺は出来ません。他方、不法行為に基づく損害賠償請求権を自働債権とする相殺は出来ます(これ、平成16年に出題されましたね)。 では、本問のように、自働債権、受働債権ともに不法行為に基づく損害賠償請求権のときはどうなるでしょうか。 この場合には、Bの利益を重視して相殺出来ません。「支払ってもらえる」というBの利益を、Aの一方的な行為によって奪うことは出来ないのです。 ■問2 認められる Aの主張が認められるためには、AB間の相殺契約が有効であることが必要です。 確かに、問1の解説でもお話ししたように、不法行為に基づく損賠償債権を受働債権として、相殺は出来ません(509条)。 しかし、そもそも509条の法の規定は、一方的な行為による場合にのみ適用があります。一方的な行為による相殺の場合には、相手方の関与しえないところで支払ってもらえるという利益が消滅してしまうので、被害者保護のために禁止したわけです。 本問のように、相殺契約の場合には、相対立する双方の了解のもとに、債権債務が消滅するので、お互いの保護に欠けるところはありません。 したがって、AB間の相殺契約は有効です。 よって、Aの主張は認められます。 ■問1および問2について(まとめ) そもそも509条は、なぜ不法行為に基づく損害賠償請求権を受働債権とする相殺を禁止しているのでしょうか。 それは、不法行為の被害者に対して実際にお金を支払い、そのお金で被害者が受けた被害から立ち直ってほしい、ということにあります。 問1の場合、どちらの債権も不法行為による損害賠償債権ですが、Aの自働債権についてはAが自ら相殺をなす以上、自分で「支払ってもらえる」という利益を放棄しています。 しかし、Aが相殺すると、Bの債権(本問では受働債権)については、Bの関知し得ないところで、Bは「支払ってもらえる」という利益を失うことになります。それではBがかわいそうです。 よって、問1のAの主張は認められないのです。 他方、問2においては、契約である以上、Bもその利益を失うことを承知しています。 よって、相殺契約は有効と言え、Aの主張は認められるのです。 ■問3 認められる 債務の履行地が異なることは、相殺できるか否かとは関係ありません。履行地が異なっていても、相殺は出来ます。 よって、Aの相殺の主張は認められます。 無断転載・転送を禁じます。 Copyright(C)2004 後藤行政書士事務所 All Rights Reserved. |
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